【2.サパ→イェンバイ】ジャイアントグラビエで行く食と野鳥ベトナム自転車一人旅

ハノイからバスでやってきたサパの街は霧の中でした。分解された自転車を組み立て早速ラオカイへ向けて急坂を下っていきます。

絶えず鳴らされるクラクション、野焼きと排気ガスのにおい、しかめっ面だけど優しい人たち、ベトナム自転車旅の記録2回目です。

コンテンツ

11/6 サパ→ランフォーラン

早朝に目が覚めましたが日の出は6時と遅めだし、無料の朝食は7時からなので出発を7時半と決めて荷造りをはじめました。今回は自転車の梱包用品が過去一で多く、かつ高地であるサパの気温を考慮してダウンなども持ってきたし、雨の予報も出ていたので雨具上下も持ってきていたので荷物はパンパンです。

新千歳でチェックインするときにすべての重量を測りましたが、フレームが9キロ、工具なども入れたホイールバッグが7キロ、そして機内持ち込みのバックパックが規定ギリギリの7.8キロで、計26キロと私にしてはかなり重たい荷物です。

朝食が始まる前にロビーの片隅で自転車を組み立て、外の様子を窺うと昨日と同じような濃い霧で、時々霧雨が肌を濡らすようなジメジメした天気です。昨日と同じだとしたら、ラオカイに向かって少し下るとこの霧は晴れてくるだろうと予想し、出発を決意します。

正直迷いました。サパの街自体には魅力を感じませんが、周辺の山々で2.3日鳥を見て過ごすのも悪くないだろうと。なんせ宿の選択肢も多く、食事も安くて美味しいので、同じ町に長期間滞在するのもありなんじゃないかと。

でも出発地点で長期滞在するのはいかがなものか、そして、雨が降らない日は貴重だろうと判断し、今日中に最低でもラオカイまで移動することにします。距離は約30キロでずっと急こう配の蛇行した下りが続きます。道はおそらくよくないだろうし大型バスもたくさん走っているだろう。初日だし事故りたくないからかなり慎重にゆっくり下ることにします。

コンチネンタルな感じの朝食をいただきいざ出発します。初めてのベトナム、2年ぶりの海外チャリ旅ということで緊張して漕ぎ出しましたが、すぐにクラクションを鳴らされます。私を追い抜いていくバイク、スクーター、乗用車、大型バス、トレーラーなどが次から次へと私の背中にクラクションを浴びせます。けっして大げさではなく1分に一回くらいの割合でクラクションを鳴らされるのです。

それも大型バスやトレーラーの改造した耳をつんざくような爆音のクラクションは鳴らされるたびにビックリしてよろけてしまう。途中何度か路肩が広いところで停車し気を落ち着かせます。話には聞いていましたが、想像以上に交通事情が劣悪と言うか、マナー、思いやり、かもしれない運転、そんな言葉なぞ存在しない場所のようです。

景色はいいけど交通量が多いし野焼きなんかもしているので空気が新鮮とは言えません。山の斜面には牧歌的な棚田が広がっています。よくベトナムを象徴する景色として紹介されているやつですね。

路面は思っていたよりは整備されていて走りやすいですが、ところどころ無理に道路を広げたためなんでしょう、土砂崩れが発生しており土砂が道路を覆い道幅が狭くなっているところも見受けられます。大きな岩も転がっていてちょっと運が悪いと簡単に死ねそうで怖いです。

出発するときはダウンの上に雨具を着ていましたが、サパから1時間ほど下るともう暑さを感じ始めます。Tシャツ姿になりさらに下っていくとラオカイの街に入りました。大きな街でラウンドアバウトがたくさんあり自転車で流れに乗って進もうとすると案の定次から次へとクラクションを鳴らされます。あぁもう嫌になる。

マルクスレーニン主義の残り香も感じられないほどに経済発展真っ只中のベトナムは、とても自由な雰囲気で活気があります。いったいどこに鎌と槌の要素があるんだろうか。やはり階層化された権力の維持という部分にだけそれが残っているんでしょうかね。

警察官や軍人の姿は全くと言っていいほど見かけません。みんなサボっているんだろう。交通警察すらいないもんだから、これだけ無秩序なんでしょうか。

出発してから2時間弱でラオカイの街を抜けて郊外の幹線道路に出ました。時刻は10時、そろそろ何か食べようとお店を探します。BUNと書かれた看板が所々にあり、これはフォーと同じコメの麺なんですが、ところてんのように押し出して作る春雨のようなものでフォートは別物。家庭的な雰囲気の一件に入ってみます。

ブンガーを注文しました。ガーは鶏です。食べているときもそこら辺を走り回っています。明日は自分がブンガーになるかもなんて思っていないのでしょう。初めてのブンでしたがどちらと言うとフォーのほうが好きかもしれません。それでも十分美味しいです。支払いは30000ドン(176円)と格安です。日本で食べたら1200円、エスコンフィールドで食べたら2800円、フランスで食べたら3500円といったところか。

もうすでに何食かベトナムの食堂で食事をしましたが、味付けがちょうどよくて何を食べても典型的な日本人舌の私には美味しく感じられます。これだけでもわざわざ飛行機に乗ってはるばる来たかいがあるというもの。

食事を終え外に出ると天気は相変わらず曇り。見渡す限り厚い雲に覆われているけど雨は降らなさそうなので次の街を目指してペダルを踏みこみます。

しばらくして宿泊地候補としていたバックナンという街に到着。時刻はまだ13時。雨も降りだしそうにない。少し尻は痛むが体力にも余裕があるので30キロ先にある次の大きな町まで漕ぐことに。その前に甘味屋で一休みします。

チェーというスイーツをいただきました。よくわからないのでタップカムという「全部入り」を注文。ほかのベトナム語は全く通じませんが、なぜかこのタップカムという言葉だけは通じます。私の発音が本場風なのでしょうか。

マメ、芋、タピオカなどからできた団子にココナッツの甘味が加わった冷たいぜんざいのようなものです。たっぷり入って15000ドン(90円)。安い、甘い、ウマイ、疲れが吹き飛びました。

しばらく店内で道路を行き交うバイクや自転車を眺めながら休憩をさせてもらいました。店番は中学生くらいの女の子が一人でしているようです。飲食店は家族経営のところが多く生活の場と店舗が一体となっていてベトナムの人たちの日常生活を垣間見れて面白い。日常生活といってもスマホを見ながらソファーで寝転んでいるだけですが。

ここまでは若干のアップダウンはあったけどそんなにキツイ道程ではなかったので、残りの30キロも同じように考えていましたが、あっさりとそんな希望的観測は打ち消され、激しいアップダウンが続きます。こんなゼエゼエになることは想定しておらず、普段からトレーニングなんてしていないものだからあっという間に太ももが悲鳴を上げます。

一山超えて頂上から下り始めたとき、遠くの電線にとまっている鳥を見つけました。思い切り背景にピントが合ってしまっていますが、こいつは後で調べたところタカサゴモズのようです。遠目でも普通のモズより一回り大きく見えます。タカサゴモズが奥の干し草をいい感じに際立たせています。

こちらはスズメですね。日本で見るものと同じです。なんでこっちはピントが合うのだろうか、チクショーめ。スズメはユーラシア大陸北側に広く分布していてベトナムにも普通にいるようです。渡りをしないのでおそらくこの辺でその一生を終えるはずです。ハノイくらいまでは行ったことがあるかもしれませんが、渡り鳥へのあこがれや嫉妬はあるのだろうか。

暗くなる前になんとかランフォーランという街に到着。もう脚も尻も限界です。あらかじめ調べておいた宿に行ってみます。幸い部屋に空きがあり一泊200000ドン(1176円)とのこと。安いのー。

グーグルマップでホテルを検索しても全く出てこない場合は、nhà nghỉ というベトナム語でホテルを意味する言葉で検索すると思いのほかたくさん出てきます。その中で評価の高い宿をあらかじめ調べておきました。

地球の歩き方などでは、安宿に宿泊する時はパスポートを預けなければいけないケースがあると書かれていますが、基本的にスマホでパスポートの写真を撮られるだけです。預けて盗難にでもあったら大変だからな。

部屋はやや古く窓もありませんが、ギリギリ泊まれるかなって感じだったので一晩お世話になることにします。山の中にある街で小さいながら活気があり、マーケットや屋台、露店が多数あります。そしておそろいのジャージを着た学生もものすごく多い。

一通り見て回りマーケットで果物やお菓子、明日の水などを買ってホテル近くの食堂で夕飯です。飯が食べたいんだけどCOMの看板が見つけられず、またブンを食べました。ブンチャーと言って小さなチャーシューが入っています。どこで食べても味が安定している印象。でも自転車旅だとフォーやブンだと5食くらい食べないと間に合わない。

マーケットでマンゴーが売られていた。もっとも好きなフルーツですが日本では高すぎて買えないからできるだけ食いだめしておこう。果物が豊富な場所を旅行するときはナイフはあったほうがいいですね、やはり。大きなものを3つ買って20000ドンちょっとだったか。

そしてまた今夜もビアハノイを買って(12000ドン=70円)チマキ的なもの(10000ドン=60円)と一緒に、ブンで満たされなかった腹をみたすことにしました。このチマキは味がほとんどありません。味のついていないもち米の中に、こちらも味がついていないマメを砕いたものが入っています。おそらく何か醤油的なものをつけて食べるのでしょう。手元に調味料は無いのでそのままいただきました。餅が好きな人は喜んで食べるはず。

実質ベトナム初日でしたが、宿も安いし、食事も美味しく、フルーツ、お菓子、スイーツなど選択肢があっていいですね、この国は。ただしひとたび道路に漕ぎ出すとそこはクラクションの洪水です。

11/7 ランフォーラン→イェンバイ

朝早く目が覚めたけど外はまだ暗いのでしばらく動画なんかを見ながら時間をつぶします。今回は無制限のSIMカードを事前に買っておいたので通信料を気にせずにネットを使えて助かります。私のスマホはeSIM非対応なので物理SIMを購入しましたが2週間というものが無く1週間用を2枚購入し途中で入れ替えることにしました。1週間用が1290円。APNの設定は必要でしたがすぐに問題なく使えました。ほんとに便利な世の中になりました。

準備をして外に出てみると今日も曇り。昨日よりも雲が低く暗い感じですが直感で降らないだろうと判断し準備をして漕ぎ出します。街のはずれに中学校?があって大量の生徒が通学していますが、よく見ると電動バイクやスクーターに乗っています。どう見ても中学生なんだがこの国では合法なんだろうか。

それもスマホを見ながら、友達と並走して会話をしながら、かなり自由に走り回っています。ド田舎ではなくそこそこ交通量のある幹線道路なんですが、大型車にクラクションを鳴らされながらも流れに乗りスイスイ走っていきます。ノーヘル、3人乗りも時々見かけます。

昨日の後半と同様になかなかのアップダウンが続きます。ヒイヒイ言いながらペダルを踏んでいると真横に人の気配を感じます。顔を上げるとスクーターに乗った小6くらいの男の子3人がこちらを見てニヤニヤ笑っています。電動スクーターだから全く音がせず近寄ってくるのに気が付きません。

ハロー、ニーハオと叫び、明らかにからかっている感じです。あぁ、この辺は途上国ムーブだなと思いました。15年ほど前アフリカに居ましたが、その時によく経験した奴です。適当にハローと返し笑顔であしらいましたがしつこくついてきます。こういう連中は扱いが非常に難しく、徹底的に無視をするとエスカレートするし、本気で相手をするとそれはそれでエスカレートします。

先に進み止まって、私が追い越す瞬間に大声を出したり、真後ろを追走されたり、10分くらい非常にいやな思いをしました。ただでさえバスやトレーラーにぶつけられないように緊張しながら走っているのに、事故だけは勘弁してほしい。

よく見ると髪を染め、指にはタバコが挟まっています。おそらく村内でも有名な悪ガキ連中なんでしょう。ガマンガマンと自分に言い聞かせ、引き返していくまで辛抱しました。令和のベトナムで、平成のアフリカを感じるとは思いませんでした。

彼らは若いころから外国人に絡み無視される経験を通してその耐性を高め、10年後にはノイバイ空港の到着ゲートで「ミスター、タクシー?タクシー?」と声をかけるのでしょう。もうすでに先が見えています。

さて、ラオカイからずっとなんですが、木の薄皮を干している光景をよく見かけました。樹皮ではなく丸太をかつら剥きしたようなものなので、おそらく合板に挟む単板なんでしょう。家族でせっせと作業をしているところもあれば、大規模な木工所でもやっています。

周囲は低山に囲まれていますが、見える範囲は最近植林されたほっそい木しか生えていません。かなり山奥まで入らないと太い木はもう手に入らないだろうと想像します。日本も同様です。

悪ガキも去ったし飯にします。公共施設の道路向かいにある食堂、おじさん達でにぎわっています。こういう店は美味いと相場が決まっています。

確かフォーボーナントカ。よくわかりませんがやはり美味しいです。男性店主も腕まくりをしてテキパキと手際よく注文を捌き見ていて気持ちがいいです。やはり飯屋はこうでなくちゃいけません。

でもやはり、フォーだと腹が満たされません。あまりにもヘルシーすぎるんです。そしてもう一つフォーには弱点があり、それは「熱い」ということ。11月のベトナム北部は朝晩は涼しいのですが日中はそれなりに暑く、そんな中自転車をこいでいるのでフォーとかブンを食べるとさらに汗が噴き出してきて非常に不快な思いをすることになります。こういう時はやはり冷めた白飯としょっぱいおかずだろう。

そんなわけで次に目についた食堂に入ります。みんな飯を食べています。でもメニューが無いし言葉も通じないので他の客が食べているものを指さして何とか注文します。かなり田舎のローカル食堂なので、ほかのお客さんが遠慮なく私を見てヒソヒソ話しています。

なんだか座ってはいけないところに座ってしまったみたいで店主に移動を促されます。なんとなく気が付いていたんだけど、食堂や施設にはお茶専用のテーブルがあって、ポットと湯飲み茶わんが置かれ、プラスチックのペール缶に入った水たばこもあります。そこは食後に移動をして歓談しながらお茶をする場所らしいので座らないようにしましょう。旅行中何度か注意されました。

待望の冷めた白飯としょっぱいおかずです。豚肉のから揚げ定食的なもので40000ドン(235円)だったかな。味付けも抜群で美味しくいただきました。ごはん系の食堂ではスープが付くのですが、ほとんど味がしないくらいに薄く、よく見ると現地の人は調味料で味付けをして飲んでいます。お椀に口をつけることはマナー違反らしいので、ひたすらレンゲを往復させます。

そういえば、この食堂で酔っぱらいに絡まれたんですよね。ひとり静かに食事をしている私に向かってベトナム語で怒鳴り散らしてきました。でもこの国の人はデフォルトでもやや怒鳴り気味に話すし周囲の人もたいして気にしていなかったので、絡まれたわけではないのかもしれない。だけど言葉はわからなくてもなんとなく歓迎されていないことは伝わります。なんか今日は無性に絡まれる日だ。

道中の補給に関してですが、個人経営の雑貨屋というか商店がたくさんあります。水のペットボトル(500ml)は5000ドン(約30円)で統一されています。旅行中どの商店でも5000ドン札1枚でOKでした。非常に安くて助かります。

画像はオリオンのチョコパイでベトナムではかなりポピュラーなお菓子らしくどこでも買うことができます。帰国してから調べましたが韓国のメーカーなんですね。二つ入りの箱で12000~15000ドン(約80円)くらいです。マシュマロの層があるので日本でいうエンゼルパイですね。暑くて疲れると甘いものが欲しくなります。

この商店の店主はとても優しい方でした。私が水とチョコパイを買うと、グラスを出してきて座って休むように勧めてくれます。何もしゃべらないんだけどニコニコしていて、外国人の私に構いすぎるわけでもなく自然に扱ってくれて居心地がいい。ホスピタリティとは定義できるものではないのでしょう。この人のように不思議な力を持った人が存在するのか、はたまた、自分と波長が合うのか定かではありません。

こういった商店の軒先には簡単なイスとテーブルが置かれているところが多く、一休みしたり、水たばこを吸ったり、ボードゲームをしたりと交流の場にもなっているようです。旅行中度々こういった軒先で行き交う人や車を見ながら休憩しました。

交通量は少なかったけどアップダウンが激しい田舎道を約100キロ走り目的地であるイェンバイの街に入りました。中規模の街で片側3車線の道路は相変わらずクラクションとバイクの喧騒に包まれています。霧雨が降り始めていたので急いでホテルに向かいます。行程がはっきりしていたので朝のうちに Agoda で予約をしカード決済をしておきました。

一泊250000ドン(1470円)と格安の宿でしたが、ベッドはきれいに整えられています。フロントのお兄さんも英語はできないけどグーグル翻訳を使ってきちんと応対をしてくれます。

だがこのホテルにはひとつ弱点があり、それはトイレが臭いこと、そしてそのトイレのドアがきちんと閉まらないことです。ドアレバーに自転車のハンドポンプを噛ませてドアを締めると快適に過ごせました。

シャワーを浴び洗濯をして早速夕暮れの街を散歩します。ここも露店や屋台が多く、食べるものに困ることは無さそうです。

歩道で焼きいもを焼いていたので一つ買ってみました。品種は定かではありませんがかなり甘くホクホクです。20000ドン(120円)とおやつにしてはちょっとお高め。あと10000ドン出せばブンを一杯喰えます。思考がベトナム人になってきました。

路地をブラブラしていると家族経営の小さな食堂があったのでそこでミーサオを注文します。35000ドン(205円)。これは即席めんを使った料理なんですが、麺が見えないほどもやしと空心菜の炒め物がドカ盛りで出てきました。これがめちゃくちゃ美味しいんですよね。即席めんなんだけど味付けがドンピシャです。安価な味覚だと何を食べてもおいしく感じて助かります。これだけは両親に感謝しています。

私の後ろではオーナーご夫婦の一人娘がドラえもんに夢中です。少し前のモノではなく、最新話のベトナム語吹き替え版といった感じ。アニメのサブスクとかに入れば見れるんでしょうか。ここのミーサオは死ぬまでにもう一度たべたいとわりと本気で思っています。この娘さんが跡を継いで、母親以上のミーサオを作るようになるんだろうか。とても居心地の良い素敵な食堂でした。

次回へ続く…

コンテンツ