2023年秋に出かけた台湾自転車縦走で印象的だったことを画像とともに振り返っていきます。中編の今回は、苑裡から台南までの行程です。
前編はこちらをご覧ください。

DAY4 : 苑裡→鹿港 11/06

まだ薄暗いうちに目覚めましたが、同室の台湾人のお兄さんはもう出発したようだ。ロビーで無料のスティックコーヒーを飲みながら荷造りを進めます。
台湾のホステルでは自転車を室内に入れてもらえるので、それだけでも雨の心配がないし盗難の不安を感じながら夜を過ごさなくてもよいので本当に助かります。メンテも準備もゆっくりすることができる。
今日の目的地は鹿港という台中の南西に位置する街で、台中を完全にスルーする形で進んでいくことにしました。大都市は車がおっかないし、観光目的でもないのでまぁいいでしょう。

苑裡の郊外にはジャイアントの工場があります。みんなやっぱり自転車通勤なのかなと勝手に想像していましたが、工場前の駐輪場にはずらーっとスクーターが並んでいます。この辺はやっぱり台湾ですね。

この圧倒的なメニュー量を見よ。今日も朝食屋で三明治を食べます。バカの一つ覚えを地で行くスタイルです。注文ではなく出来合いのものを手に取り、冷蔵庫から手慣れた手つきで豆乳を取り出しお会計をしてもらいます。ハムカツ卵きゅうりサンドでしょうか。ボリュームがあっておいしいです。

人によっては台湾の食事は大味だと感じる人もいるでしょうが、私はこの素材を生かした調理方法が合っているようでどこで何を食べてもおいしく感じます。でもやっぱり地元の若者衆はほとんどおらず、コンビニやファストフードで済ませている様子。この光景もあと数年したら貴重になってくるかもしれません。

今日もほとんどが海岸線の自転車道を進むことになります。遮るものが何もないし、南へ向かっていると街路樹の日陰は対向車側にできるので、ずっと快晴の太陽に晒されながらこぐことになり、数日で日焼けが痛いほどになってきました。一応日焼け止めは塗っていますが、顔や体を拭くときに落ちてしまうからあまり意味がない。

途中、湿地の東屋で2時間くらい風にあたり野鳥を探しながら休憩をしました。コチドリ、コサギ、セイタカシギなどを観察しました。セイタカシギは生まれて初めて見ましたが、マジで背が高くてビックリです。お前の脚はどうなってるんだ。

ここまで4日間台湾に滞在していますが、いくつかわかったことがあります。まずはスピード感について。これは日本だけが世界標準より遅すぎるだけなんでしょうが、車もバイクも遠慮なくアクセル全開です。海外に出たのが10数年ぶりなので、余計にそれを感じます。運転中の「万が一」とか「ヒヤリハット」なんで考えないのでしょう。
慣れとは怖いもので、そんな中でも普通に自転車で旅をできるようになってきました。

そして人。思っていた以上に多民族な感じで、台湾人を定義するのが難しいです。住民は俗にいうアジア系の見た目の人たちがほとんどですが、マレー系、中華系、タイ系などいろいろな血が混じっているようで、日本人のように小柄で華奢な人から、浅黒く大柄な人、典型的な中国人といった風体の人など様々です。

一貫している国民性として顕著なのは「ルールに厳格」ということでしょうか。日本人よりも人前で人に注意をします。私も何度か小さなことで注意をされました。おそらく私のことを台湾人だと思って気軽に言っているのでしょうが、そこは中華系ということで当たりが強いし声も大きめなので、攻撃されているように感じて萎縮してしまいます。

さて、今日もローカル食堂で昼飯を食べます。なるべく寂れている食堂を探して入ることにします。我ながらおかしな好みですが、やっぱり寂れているほうが好きなんですよね。おしゃれだと落ち着かないし、人が多いとそれが気になって食事に集中できません。この食堂の外観は満点です。「麺」「飯」これだけでしっかり伝わってきます。

おいしい肉燥飯と青菜炒めをいただき、グーグル翻訳に気持ちを代弁してもらいお店を後にしました。よく肉系のレシピとともに出されるキュウリやキャベツのピクルスというか漬物もとてもおいしいんですよね。日本人の舌にはバッチリ合います。

それにしても、どこまで行っても道が平らです。川に架かる橋や鉄道との立体交差くらいしかアップダウンがありません。道の状態も日本よりも良く、スクーターと自転車の専用レーンがあるのでその気になればかなりのスピードを出すことができます。私は相変わらずゆっくりペースでのろのろ進みますが。

途中「環島中」と書かれたプレートを掲げたスクーターの女性を目撃しました。縦走ではなくてぐるっと一周する旅をしている若い人が結構いるようです。台湾島は大きさ的にはほぼ九州なので、スクーターだったら1週間もあれば十分達成可能でしょう。これはこれで楽しそうですね。気軽に挑戦できそうだし。

早めに鹿港の裏路地にある宿に到着し、ほかの宿泊客が来る前にシャワーと洗濯をさっさと済ませて夜の街に散歩へでかけます。薬局に行きスプレータイプの日焼け止めを購入。そしていい感じのお茶屋さんがあったので凍頂烏龍茶をお土産として購入しておきます。

ぱっと見それぞれの容器の中にそのまま茶葉が入っていて、昔ながらの天秤測りで量り売りしてくれそうな雰囲気ですが、容器の中にはパッケージになった商品が入っているだけです。ちょっとがっかりしました。でも店主によると品質は確かだ!とのこと。

屋台で胡椒餅を買い、肉汁でやけどしながら散策を続けましたが、本当にこの国は治安が良く、結構暗くなっても若い女性が一人で歩いていたりスクーターで移動している様子が見られます。かといって、街中に警官や軍人の姿も見かけないので、ヘタをすれば日本以上に安全と言えるでしょう。

今晩お世話になるホステルは若干高めですがおしゃれで清潔で非常に快適でした。ベッドの足側に個人スペースがあり、服をハンガーにかけたり荷物を置いたりすることができる。同じドミトリー形式でもちょっとの工夫で利用者の利便性はぐっと高まります。もし将来ホステルを経営するようなことがあれば、今回の旅の経験を活かしたいところ。
そして場所柄か、12人くらい収容できる部屋には私だけしかおらず、結果的に広大な部屋を独り占めしてゆっくり音を出して動画鑑賞や放屁などをしつつ、翌日の予定を立てて就寝しました。
DAY5 : 鹿港→嘉義 11/07

まだ日が低く涼しいうちにホステルを後にし、今日の目的地である嘉義方面の道に入ります。市街の外れにたくさんの地元労働者が朝飯なのか昼飯なのかを買っているお店があったので、早速立ち寄り朝食をとることに。

フルーツサンド、水餃子、そして定番の豆乳です。未知の食い合わせ。おそらくドラゴンフルーツのサンドイッチなんですが、想像より全然味がしないんですね。色はこんなにドギツイのに、非常にさっぱりとした味。食べたのはたぶん人生初だと思う。街中ではよく目にしました。

嘉義はこの旅で初めて訪れる内陸の街になります。このまま海岸線の道を南下しても良かったのですが、少し景色に飽きてしまったので気分転換に内陸へ進路を取ります。海岸線では見られなかったライスフィールドが視界を覆いつくすようになります。

海岸線に比べてアップダウンが増えるかなと多少は覚悟していたのですが、道は相変わらず平坦で、どこまで行ってもきっちり整備されていますね。そして白線で区切られた専用レーンがあるので、快適に走行できます。

これはおそらく、ダウンの製造工場でしょう。日本で見たことはありませんが、こういうのを見るとダウン製品を買うのは良くないよなと思います。手元にあるものは仕方がないのでせめて大切に使おうと思うきっかけになりました。まぁ、虐待&搾取だよな。

幹線道路から少し入ると、南国らしい濃い緑が迫ってきます。ガジュマルの古木でしょうか。信心浅い私でも神が宿ってるんじゃないかと感じるほどの存在感。私は行ったことがないですが沖縄あたりの景色に似ているのでしょう。この辺りで珍しいトビも見かけました。詳しくはこちらのページをご覧ください。


お昼はいつものローカル食堂です。道路向かいにはマックがあり、ウーバー的なバイク配達の人たちがたくさんたむろしていました。ピンクのパンダマーク、そしてWoltが優勢です。もともとバイク文化かつ外食文化だし、フードデリバリーとの相性はよいはず。

咖喱飯なるものを食べてみました。日本式のルーカレーにおかずを和えたものです。カレーはやはり薄味なので、卓上の調味料をあれこれ使って味を調えつつおいしくいただきました。

こういう文章は読めますよね。アラビックなど全く読めもしなけりゃ想像もつかない文字を持つ国への旅行に比べて、意味の想像が容易につくので面白いものです。中国語を勉強したくなります。欧米人よりも文字の面では有利でしょうが、発音がなぁ、母音の発音の種類が多すぎるからなぁ。

嘉義の手前に森林公園があったので立ち寄ってみました。園内は広く遊歩道が縦横に伸びています。探しているのはゴシキドリです。台湾の固有種でキツツキの仲間のとても美しい鳥らしい。そこまで珍しい鳥ではないみたいだが今のところ観察できていないので、2時間くらい自転車で園内を散策してみましょう。

あっけなく出会うことができました。思っていたよりも背のグリーンが鮮やかで南国感がありますね。鳴き声は日本のキツツキ類とやはり似ていて、キョッと大きな声で鳴いていました。そのほかいろいろ見ましたがここでは触れません。台湾の野鳥のページをご参照ください。

今晩お世話になる宿もホステルなんですが、ここはおそらく以前は普通のビジネスホテルで、それの一部屋に2段ベッドを3台押し込み、一つのバスルームを共有するというスタイルです。居室内はおじさんばかりでモワっとした空気が漂います。風呂上がりのおじさんの水蒸気がバスルームからあふれ出てなんとも言えない。
よく見ると、昼間何度か見かけたチャリ旅のおじさんがいるじゃないか。おそらく相手は気が付いていないだろう。私はずっと彼の背中を追いかけていたから。

屋上にはコインランドリーとフリースペースが設置されており、ドラムの回転が止まるまでここで過ごしました。昼間は日差しが強烈ですが日が落ちると一転風が心地よく、一日の疲れが取れていきます。何時間でもいられる最高のロケーションです。1日で一番好きな時間になりました。

夜はいつものように散策がてら飯を食います。夜市の出店がにぎやかですね。夜市は大都市では毎晩、地方都市では毎週〇曜と言った感じで開催されているみたいで、地元の若者や観光客でどこも賑わっています。

私は人込みが苦手なので、遠くから眺めるだけにして、寂れた食堂を探してひたすら歩きました。途中、小樽駅に似ていると話題の嘉義駅前を通過し、下町を散策していると家族経営の小さなチャーハン屋を見つけ無事夕食を済ませました。

明日もどうやら晴れて気温が上がるらしい。南に移動するにつれて蒸し暑くなってきてコーラの消費量が増えてきました。こんなんじゃいつまでたっても腹が凹まない。
今のところ一度も雨で足止めを食らわず、いたって順調に旅程を消化しています。日程的にはかなり余裕があるのでペースを落としても良いかもしれません。
DAY6 : 嘉義→台南 11/08

目が覚めて2段ベッド下段のカーテンをそっと開けたとき、同室のチャリ旅おじさんはもうすでに出発していた。台湾の人は朝が早いですね。ここまでずっとホステルに宿泊してきましたが、客のほとんどは台湾の地元の人といった感じです。
日本より年配の人が普通に使っている印象です。日本の中高年よりメンツとか見栄えを気にしない人が多そうなイメージです。いいことだ。そんなものはさっさと捨てるに限る。

今日も早餐店で朝飯を食べましょう。前日の晩からこのひと時が待ち遠しくて仕方ありません。といってもいまだに不勉強のせいでメニューはよくわからないので適当に出来合いのものをピックアップしてお会計を済ませて店の前で食べ始めます。

すると店の人が笑顔で駆け寄ってきて、ソースをかけてくれました。どうやらそのまま食べるものではなさそうです。左は蛋餅というクレープを巻いたもの。右はよくわかりません。
日本人かと聞かれたので、そうだと言っておきました。なんかたまに、いや違う、と言いたくなります。日本人であることが恥ずかしく感じる現象が時々起こるんですよね。まぁ実際恥ずかしいことなのかもしれない。以前は胸を張って日本人だと言えていたのに。

昨晩の宿で同室だったおじさんに追いつきました。二人とも結構ゆっくりペースなので、飯を食べたり休憩したりで抜きつ抜かれつといった感じでこの後もしばらく見かけました。短パンポロシャツのラフな感じが旅慣れているようでカッコイイです。でもヘルメットはつけたほうがいいぜ。

しばらく走ると北回帰線の表示の下をくぐりました。太陽が真上に来るラインですね。日本ではどんなに太陽が高い時期でも真上ということはなく、やや南側に見えるもんです。中学の理科を思い出して頭痛がしてきます。いやだいやだ、早く忘れよう。

今日もグーグルマップの指示に従い走行していると気が付けば結構な田舎道を走っており、迷ったわけではないんだけど、見渡す限りの草原で方向感覚を失いました。進むべき道を見失った中年がそこにはたしかに居ました。

連れて帰りたいほどかわいい野犬がたくさんいます。こんなに野犬がいるんだけど狂犬病は大丈夫なんだろうか。だいぶ昔にワクチンは打ったけど、もう効果は無くなっているでしょう。ほかのアジアの国を旅するときは打っておいたほうがいいかもしれん。

スイカを販売しているようです。そのほかフルーツの屋台もたくさん見かけます。私はマンゴーが大好きなんですが、時期が1か月ほど遅かったようで残念ながら見つけられませんでした。スイカは腹を下しそうなのでこの旅ではパスしときます。

もうすぐ台南というところで今まで見てきた中で最大の廟を見かけました。四草大眾廟というもので恐ろしくデカいです。周辺は湿地帯になっており、ボートに乗って自然観察などを楽しむことができるよう。ちょうど時間が合わず私はベンチで休憩しただけで台南市内へ先を急ぎました。

街の手前に行列ができている露店があったので並んで買ってみました。韮菜盒と呼ばれるニラがメインの野菜炒めが入ったおやき的なものです。カリッカリで肉汁たっぷりでこれはうまい。1個30TWDです。

やっと台南市に入りました。今日の行程はとても長く感じました。休憩を多く挟み過ぎたことが原因なんですが。とにかく早くホステルにチェックインをしてシャワーを浴びたい。それしか考えられません。

チェックインを済ませシャワーを浴び、屋上のテラスで洗濯をし回転が止まるまでただひたすらぼーっとして待ちます。ここも風が気持ちよくいつまでもいられる。そのうち立ち上がるのが面倒になってきて辺りが暗くなり始めました。

夜は結構歩きました。8キロくらい歩いただろうか。我ながら元気だなと思います。
台南は観光地で特に欧米人に人気があるようですね。この旅で初めて日本人にもすれ違いました。今のところホステルでも全く日本人を目にしないのはなぜなんだろうか。やはり円安の影響があるのでしょうか。
次回へ続く。
前編はこちらをご覧ください。【前編】画像で振り返る台湾自転車縦走~最北端から最南端まで