【台湾バードウォッチング】台北高雄で見られる身近な野鳥

台湾では多くの固有種を始め、その地理的な特徴から様々な野鳥を観察することができます。印象としては日本よりも密度が高く、バードウオッチングを意識していなくても、電線や街路樹、公園などで日本では見ることができない鳥を観察することが可能です。

正確な同定はやはり台湾の野鳥に関する書籍でする必要があり、私も現地で購入し、撮影した画像をもとに進めました。画質が悪いものもありますが、皆さんの同定の助けになればと、この記事を書きました。

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街角で見られる野鳥

ここでは街角で頻繁に見ることができる野鳥をあげていきます。珍しい種ではなく自転車旅行中にたくさん見かけた鳥です。

カバイロハッカ(Common myna / 家八哥)

ムクドリ科 全長25cm

おそらく島西部で最も見かける野鳥で、地鳴きは複雑で大きな声、飛翔時には翼に白い部分が見えます。

どうやら籠抜け鳥のようで、本来は大陸に生息する鳥のようです。でも、すでに台湾島内にめちゃくちゃいます。

ハッカチョウ(Crested Myna / 八哥)

ムクドリ科 26cm

先ほどのカバイロハッカよりも真っ黒で、くちばしの付け根にモサモサがあるのが特徴です。

似た種として、下にあげる白尾八哥に似ています。識別は、こちら(ハッカチョウ)は尾の裏側に白黒のまだら模様があり、眼も若干赤みがかっています。くちばしも薄い黄色で不明瞭な色です。

ジャワハッカ (Javan myna / 白尾八哥)

ムクドリ科 26cm

専門書で分布をみると、その名が示すように本来はインドネシア地方に住む鳥のようですが、籠脱け鳥として台湾でもたくさん見ることができます。

先ほどのハッカチョウの方が少ない印象です。

ここまで挙げたハッカチョウの仲間は、飛翔時に翼に白い部分が見えるのが大きな特徴です。

オウチュウ (Black Drongo / 大巻尾)

オウチュウ科 全長28cm

真っ黒で長い尾の先端が二つに分かれているのが特徴です。

群れておらず、郊外の電線上や開けた木の上で尾を揺らして鳴いているのをしばしば目撃しました。尾が特徴的なので見間違えることはなさそうです。

台湾、インド、東南アジアでは留鳥、繁殖期に中国本土北部へ渡る個体もいるみたいです。

ツバメ(Barn swallow / 家燕)

ツバメ科 全長17cm

日本で見られるものと同種です。

生息域としてはもっと南まで広範囲にわたるようですが、繁殖地域としては台湾あたりが南限のようです。

台湾島北部で多く見かけました。南に下るにつれリュウキュウツバメの割合が多くなります。

リュウキュウツバメ(Pacific swallow / 洋燕)

ツバメ科 全長14cm

このリュウキュウツバメは台湾島を南に進むにつれて、上記のツバメに置き換わる形で見る機会が増えていきました。

夕方、東港のホステルの屋上で風に当たっていると、どこからともなくたくさんのリュウキュウツバメが集まってきて、目の前を通過していきました。忘れられない光景です。

上の画像は高雄市内の公園で撮影したものです。簡単に出会うことができてかわいいので、私のようなバードウオッチング初心者が観察するのに適しています。

タイワンゴシキドリ(Taiwan barbet / 臺灣拟啄木)

ゴシキドリ科 全長21cm

台湾固有種のひとつで、木があるところであれば市街地でも観察することができる、大変きれいな鳥です。

私はこの鳥さえ見ることができたら、今回の自転車旅行は大成功、そういう考えでいたので、民雄森林公園を散策中、目の前につがいがとまってくれた時は歓喜で震えました。

しばらく目の前で木の種子でしょうか、食べたり毛づくろいをしたりと大サービスだったわりには、ピントがイマイチな画像で自分にがっかりした次第です。

高雄市内の公園でも見ることができました。台湾島内ほぼ全域で見る機会があるでしょう。

ベニバト(Red Turtle Dove / 红鸠)

ハト科 前兆23cm

市街地ではあまり見かけませんでしたが、少し郊外に出ると電線の上や枯れ木の上なんかにかなりの数を見ることができます。

ハトらしい、同じところをぐるぐる回る動きをしながら、たまに地面におりて何かを食べていました。

ハトのなかではかなり小ぶりで、日本人の感覚からするとちょっとびっくりします。ヒヨドリと全長は変わりません。

カノコバト(Spotted Dove)

ハト科 全長30cm

ぱっと見は日本にいるキジバトに似ていますが、喉の辺りのゼブラ模様が違っていて、翼の色もキジバトに比べ地味な印象です。

台湾島内どこでも見られる印象ですが、ベニバトよりも市街地に多い印象で、都会の公園で観察することができました。

シロガシラ( Light-vented Bulbul / 白頭翁)

ヒヨドリ科 全長18cm

市街地でも少し林がある場所、公園や施設脇などでしばしば見ることができます。島西部では北端から南端までまんべんなく分布している印象です。

後頭部と頬が白く、翼がきれいなヤマブキ色(ヤマゲラみたい)。似た種にクロガシラ Styan’s bulbul がいます。そちらはくちばしの付け根に赤い点があり、頭部は黒いです。この後で紹介します。

クロガシラ(Styan’s bulbul / 烏頭翁)

ヒヨドリ科 全長18cm

シロガシラに似ていますが、頭頂が黒く嘴の付け根にオレンジ色のスポットがあります。

台湾島東部に主に生息していますが、南端の街、墾丁でバスを待っているときに幸運にも観察することができました。

台湾固有種で、西部ではあまり見る機会はなさそうです。

タイワンオナガ (Grey Treepie / 樹鵲)

カラス科 全長34cm

こちらも電柱の突端や街路樹なんかで見ることができる身近な鳥です。最初見たとき感動したんだけど、意外とたくさんいます。見るチャンスは多くあるはずです。

鳴き声が良く響き、高いところで一生懸命に鳴いている姿をたくさん見ました。

分布は中国南部と台湾に限られるので、人生においてそんなに見る機会はなさそうです。人間との距離は近いので、撮影のチャンスは多いと思います。

モズ (Bull-headed shrike / 紅頭伯劳)

モズ科 全長19cm

私はモズ科の識別に疎いのですが、おそらく日本で見られる普通のモズと思われます。

日本(私が住む北海道だけど)と比較して、みんなほっそりとしていて、渡りの疲れなのかちょうど換羽の時期だからなのか、その辺ははっきりしません。

モズは越冬地が中国南部と台湾に限られているので、繁殖地よりは地域が狭い影響か、密度はとても濃い印象でした。島内ほぼ全域で確認することができました。

スズメ (Eurasian Tree Sparrow / 麻雀)

スズメ科 全長14.5cm

こちらも日本でも見られる、あのスズメです。渡らない鳥なのでここに写っている皆さんは、台湾から出たことがない方々のはず。

日本だと郊外の住宅地などに行くと、それこそスズメとカラスしかいない、という状況になってしまいますが、台湾はこれまでに挙げてきたほかの鳥も相当な数がいるので、スズメだけがめちゃくちゃいるなという印象ではありませんでした。

そうそう、カラスがいないのには驚きました。10日間いて一度も見ないくらいに数は少ないみたいです。代わりにカラスの仲間のカササギとタイワンオナガがいるんですけどね。

シキチョウ(Oriental Magpie Robin / 鵲鴝)

ヒタキ科 全長20cm

カササギと似ているのですが、ひと回り小さくて白Tのラインの深さが違い、翼に紺色が入っていません。ちなみに、一言で言うと、めちゃくちゃカワイイです。

よく見ると顔まわりもヒタキの仲間に見えますね。水辺に多くいる印象です。

アカハラシキチョウ(White-rumped shama / 白腰鵲鴝)

ツグミ科 全長25cm

緑があるところであれば都会でも確認ができます。鳴き声がとても美しく特徴があって耳に残ります。

高雄市内で複数回目撃しました。私の自転車の上にもとまってくれたのですが、手が震えて見事にぼけてしまいました。画像のように地面に降りてきて昆虫を食べます。

ミドリカラスモドキ (Asian Glossy Starling / 輝椋鳥)

ムクドリ科 全長18cm

公園の樹木にたくさんいました。特に南部で多く見た印象です。

籠脱け鳥で本来は台湾にいない鳥のようです。若鳥は見た目が大きく違います。

インドコムクドリ (Chestnut-tailed starling / 栗尾椋鳥)

ムクドリ科 全長22cm

日本で見られるコムクドリに似ていますが、もう少しさっぱりしています。くちばしの先が黄色、全身はその漢文名の言う通り薄い栗色にも見えました。

こちらも籠脱け鳥で本来はタイ、ベトナム、インドなどで見られる鳥です。でも台湾にすでにたくさんいます。

ジョウビタキ (Daurian redstart / 黄尾鸲)

ヒタキ科 全長14cm

日本でも大人気のあの人です。台湾でも日本と同様で冬鳥として渡ってきます。実は私、ジョウビタキを見たのはこれが初めてです。北海道ではほとんど見ることはできないので、ちょっと驚きました。まさか初めてが台湾になるとは...

クロエリヒタキ (Black-naped monarch / 黑枕藍鶲)

ヒタキ科 全長15cm

留鳥で一年を通して観察できる鳥みたいですが、私は10日間の台湾滞在中で一度キリ、ちらっとだけ見ることができました。奇跡的に、ちょっと遠かったけどパシャっと一枚撮れました。

濃い青が印象的で、見られて幸福感でいっぱいになりました。場所は高雄都会公園です。

コウライウグイス (Black-naped oriole / 黄鹂)

コウライウグイス科 26cm

台湾島では留鳥として一年中観察ができるみたいです。私は高雄市内の公園の高い枝にとまっているところを発見しました。こいつも特段珍しい鳥ではないはずなのですが、見た目がこんな感じなので、感動で震えました。

ズグロミゾゴイ (Malayan night heron / 黑冠麻鷺)

サギ科 全長50cm

この手の鳥は初めて見ました。一瞬何か樹木か人工物か、そんな感じに見えました。画像は幼鳥のようです。高雄都会公園でランニングをする人が行き交う中、一人棒立ちしていました。

民雄森林公園でも成鳥を見ることができました。そこまで珍しい鳥ではなさそうですが、見つけるとドキッとします。逃げないので近くまで寄ることができますが、表情が険しくなるので近づきすぎないように。

セイタカシギ (Black-winged Stilt / 高蹺鴴)

セイタカシギ科 全長37cm

中部から南部にかけての低地の水辺で頻繁に目撃しました。台湾では通常冬鳥でごく一般的な種みたいです。10羽弱の群れでいることが多く、アオサギ、コチドリ、ムナグロと一緒にいることも。

生まれて初めて見ましたが、体に対してアンバランスなほど足が長いので、こちらが心配になってしまうほどでした。

画像はないけど確認できた鳥

  • カワセミ
  • メジロ
  • イソヒヨドリ
  • イソシギ
  • ハクセキレイ
  • ムナグロ
  • ミサゴ
  • アオサギ
  • コサギ
  • ダイサギ
  • カササギ
  • カイツブリ
  • カンムリワシ

これらの鳥は都市部や郊外の森林公園、海岸付近の湿地などで見ることができました。カワセミは高雄の街中の水辺で普通に見ることができます。ミサゴも海岸線を移動中に複数回見ることができました。

カイツブリは子育てをしていました。北海道でも台湾でも子育てを見ることができ、変な達成感に浸りました。

たぶんちょっと珍しい種

Black collared Starling / 黑领椋鸟

ムクドリ科 28cm

台北市内、故宮博物院へ続く川沿いのサイクリングロードを走っているときに目撃しました。こちらも籠脱け鳥で、本来は大陸にのみ生息している鳥のようです。

なんとなく大味な印象の鳥で、私が見たときは数羽の群れで木の実をつついていました。

タイワンオオタカ (Crested Goshawk / 鳳頭蒼鷹)

タカ科 30~46cm

台湾固有亜種のようです。クマタカと迷ったのですが、のどの辺りのラインと、風切り羽の枚数でタイワンオオタカだと私は同定しました。

高雄市内の小さな山、亀山の急階段を登っているときに、ふと空を見上げると、ふわっと舞っていて慌てて撮影をしたのですが、ピントが偶然合ってくれてこれはラッキーだったと思います。

暑さでベチャベチャになりながらしばらく粘ったのですが、出てきてくれたのはこの一度だけでした。

Black Shouldered Kite / 黑肩鸢

タカ科 全長31~37cm

苑里郊外の水田が広がるエリアで偶然見かけました。最初何の仲間かもわからず、日本に帰ってくるまで同定はまったく不可能でした。

色も顔も翼の長さも、どの種とも似たところがないので、トビの仲間だと知って驚きました。本来はタイなど東南アジア、インド、アフリカ南部で留鳥として観察される鳥みたいです。

眼が真っ赤で心配になっちゃいます。

台湾野鳥観察ガイド

ここにあげた野鳥はほとんどが簡単に見ることができる身近な野鳥です。まだ書ききれていない水鳥もたくさんみたので、少しずつアップしていきます。

なお、台湾で野鳥を観察する際は、台湾の野鳥の会を訪問することをお勧めします。私は高雄野鳥の会に行って、書籍を2冊購入し、おまけで絵葉書と小冊子もいただきました。スタッフの皆さんはとても親切です。

台北にも野鳥の会のオフィスがあるみたいなので訪れてみてください。きっと歓迎してくれるはずですよ。鳥好きに国境はありません。

追記:まだ同定できていない鳥もいるので、少しずつ作業を進めていきます。

参考書籍

  • 高雄市鳥類生態地図(高雄市野鳥学会編)
  • A Field Guide to the Birds of Taiwan (Forestry Bureau / Wild Bird Society of Taiwan)
  • フィールドガイド日本の野鳥(日本野鳥の会)
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