私のクロスバイク旅行の歴史と展望

私のクロスバイク旅行のこれまでと、これからを語っていきます。誰かの役に立つような記事ではありません。完全に個人的な記録かつ備忘録かつ決意表明的な意味合いの記事でございます。

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余市まで

私がクロスバイクを買ったのは、日常使い用ではなくて旅のためでした。

日本縦断とか、世界一周とか、そういうことをしている人のブログや動画に感化され、自分もそういうことをしてみたい!風を感じたい!と思って、お金がないくせに頑張って購入したのです。

そして、やはり自転車旅と言えばテント泊、公園の東屋やベンチ、無人駅なんかで背中を丸めて眠るのがカッコイイと当時は思っていて、テントをはじめ自炊用品一式を買い、リアキャリアに満載し、とりあえず練習ということで、1日で余裕をもってたどり着ける近郊の余市を目的地にして出発をしました。

天気も良く国道5号線を快調に進み、小樽で小休憩をして余市についたのは午後3時。市街地のスーパーで適当にウインナーやらエノキやらを買いこんで、コンソメでスープを作って、海岸のキャンプサイトに張ったテントの中で食べました。

思っていたより、ずっと暇で楽しくない。周りには同じような数人のソロキャンパーがいるだけ。ただ更けていく夜。そして闇が深くなると同時にゴウゴウという波の音が気になりだして、部屋の布団でもなかなか寝付けない私は、完全に目が覚めてしまって、結局一睡もすることなく翌朝テントから這い出ました。

何度も来たことがある街なので、特に観光をすることもなく、早く自宅のベットで寝たい一心で早朝から自宅を目指してペダルを踏みだしました。同じ道を通っても面白くもなんともないので、朝里峠を抜けるルートを選択しましたが、これがきつくてきつくて、炎天下に1時間くらい自転車を押す羽目になりました。

この時、走行距離よりもアップダウンが少ないルートを選ぶべきだと学んだのです。

北海道最北端を目指して(敗北)

前回の練習は一応成功、ということで、いよいよ複数日にわたる自転車旅行を決行します。目的地は北海道最北端の宗谷岬です。

行程は3泊4日でとりあえず到着、その後は同じルートを戻ってくるというもの。だから一週間ほどかかる計算になります。

札幌の南区の自宅を出発した私は、快調に進み石狩で海岸線までたどり着きます。国道231号線、通称日本海オロロンラインというやつです。海岸線の道は、地図で見る限り平坦に思われますが、日本のように山が多い国だと崖状になっていることが多く、道もアップダウンが激しくかなり消耗しました。

初日は浜益という鮭釣りで有名な街の海岸にあるキャンプ場でテント泊です。近くの温泉につかり旅の疲れをいやし、気分がいいので今回は眠れると思ったのですが、やはりほとんど眠ることができません。

周囲の音が気になるし、なんか落ち着かない。自分では意識していませんが、たぶん、怖いんだと思います。ずっと緊張感がある感じで頭の活動が活発になってしまって、結局一睡もできずに二日目の朝を迎えました。

増毛、留萌と相変わらずアップダウンの激しいエリアを通過し、途中セイコーマートでコーラやらおにぎりやらで補給しつつ、この日の目的地である苫前町までたどり着きました。

とてもこじんまりとした町で、唯一のスーパーがセイコーマート。そして道の駅にある温泉につかり高台にあるきれいなキャンプサイトにテントを張ります。

オートキャンプがメインのキャンプ場で、自転車、バイク勢は小さな一角に凝縮され、難民キャンプの様相です。それだけ距離が近いとさすがにしゃべることになり、バイクで旅をする関東のおじさまやら、函館の大学生やら、数人とお話をしました。

そして、肝心の夜。両隣の旅人の大きないびきやオナラが聞こえる中、私はスマホを眺めたり本を読んだりしながら頑張って眠気が来るのを待ちましたが、やはり一睡もできず。これで二日続けて一睡もすることなく朝を迎えました。冗談抜きでホントのはなし。

周りがテントを片付け続々と出発をする中、昨晩すこしお話をした大学生は、テントの中から大きないびきをひびかせながら悠々と寝ていました。この時思ったのです。テント泊は選ばれた人たちのみに可能な芸当なのだと。私のような神経質なたちの輩には、到底不可能なことなのだと。

ということで最低でも48時間起きっぱはさすがに死んじゃうかもと考え、旅を中断して帰ることにしました。この時はまだ、輪行というアイデアが私にはなかったので、来た道を引き返し、途中江別にある実家で一泊(爆睡)させてもらってヘロヘロになりながらなんとか自宅にたどり着きました。

九州北部の島をめぐる

前回のたびで、テントで豪快に眠る大学生を見たことがきっかけで、「テント泊自転車旅」という理想を完全に捨て去ることができた私は、テントや自炊道具一式をヤフオクで売り払い、ホテル泊に切り替えました。

装備が軽くなると同時に輪行という言葉も知り、いろいろ調べ始めます。どう考えても輪行にはメリットしかないということに気がつき、どこか遠いところを自転車でめぐってみようと思い立ちました。

飛行機にのせる方法をいろいろ調べているときに、JALがセールを開始するということを知って、目的地は九州に決めました。大手キャリアだと追加料金なしで自転車を積み込むことができるので、これはめちゃくちゃお得なわけです。(LCCは自転車別料金がほとんど)

結局福岡往復便を16000円でゲットでき、もちろん自転車の追加料金なし。

ルートは迷いに迷って北部の西側、島と入り江が点在し景色がきれいだろうという理由で熊本、長崎、天草、平戸とめぐるルートにしました。これはあとで後悔することになります。

後悔の理由なんですが、やはりわかりやすいルートの方が達成感を得られるから。

「一周」とか「縦断(縦走)」とか、○○から○○まで〇〇キロ、とかの方が、別に人に自慢したいわけではないんだけど、気持ち的にやり切った感があります。

だからこの時は、まず北九州まで電車輪行し、そこを起点にして鹿児島まで行って、鹿児島から福岡まで新幹線輪行で戻ってくる、というのが正しい(?)選択だったはずと、今更思うわけです。経験が浅かった。

そして九州への出発を前に旅程を練っている間、とても大切なことに気がつきました。それは本来のたびの目的についてです。

私はいったい何をしたいのだろうか。←コレ

いままで旅行というものを自分なりに定義したことがなかったのです。40歳を過ぎてやっとこんなことを考え始めたのは愚かとしか言いようがありません。笑っていただいて結構です。

旅先で何をしているとき一番楽しいと感じるか。もしそれがわからなければ、旅先で一番したくないことは何か。これらを真剣に考えたんです。カッコつけずに本音をいうとこんな感じになりました。

  • 一人でいたい
  • 食堂でおいしいものを食べたい
  • 鳥を見たい
  • ひらけたところでぼーっとしたい
  • 自転車をこぎたい
  • 地元の人と話したい
  • 人(観光客)がたくさんいるとイヤ
  • 雨に打たれるのイヤ
  • 寒すぎ、暑すぎ、疲れすぎるのイヤ

こうやってまとめると、「人込みを避けて景色が良くて、鳥を見て、夜は食堂でおいしいものを食べて、快適な環境で就寝する。」これが私の理想のたびだろうということがわかってきました。

ということで、一般的な観光要素はことごとく無視をした自分の旅行の輪郭が少しづつ見えてきた、そんな旅行になりました。詳しくはこちらを見ていただけると嬉しいです。

台湾縦走

自転車を買ったとき、一つの夢がありました。それは台湾縦走自転車旅行です。私のクロスバイクはGIANT製。もちろん台湾製なので里帰りさせたい意味もありましたが、やはりちょうどよいサイズの島で、環境も人も良くて、物価もまだまだ安く治安も良い。自転車旅行にはうってつけの海外、それが台湾でした。

というわけで、コロナが明けて状況が安定してきた2023年の末に実行しました。結論から言うと、「最高だった」の一言です。

九州をぐるぐるしている間、改めて自分らしい旅のスタイルを考え直して、いさぎよく捨てるものは捨てて旅をスリムにして、楽しみのエキスを凝縮させて挑んだ10日間でした。

観光地と呼ばれるところには全く立ち寄らず、朝昼晩、それぞれローカル食堂で言葉と習慣の違いに悪戦苦闘しながら料理を頼みそれを平らげ、アプリの助けも借りながら地元の人たちと会話をし、交流をすることができました。

海沿いにはひらけていて気持ちの良い風が吹く湿地公園が点在し、そこで数時間、風に当たりながら鳥を眺めました。一生このまま、台湾島をぐるぐる回って過ごしてもいいんじゃないか、そんなことを思ってしまうくらい、満足感の高い自転車旅行をすることができて、自転車を入手して以来の目標を一つ達成できた感があります。

たぶん私の愛車も満足しているでしょう。ありがとう。いろいろ。

詳しくはこれらの記事を見ていただけたら幸いです。まだまだ書きたいことがあるのでコツコツ作業を進めていきます。

バンコク~ピッサヌローク400キロ

2024年初め、タイのバンコクから北のピッサヌロークという町までの約400キロを走り、高速バス輪行でバンコクまで戻る旅行に出かけてきました。

往復ともにエアアジアの新千歳直行便。自転車を乗せるには一路線につき別途6000円がかかりトータルで航空券だけで10万くらいしてしまった。もうすこし安くなるタイミングがあったと思うんだけど、ちょっと衝動買いをしてしまった。

自転車旅行の場合、自転車がロストすると即オワタになるので、特にLCCの場合は乗り継ぎは避けたい。スーツケースのロストとはわけが違う。自転車がメインなんだから。

当初、バンコクを発ちカンボジア国境を越えてシエムリアップまで行き、そこからプノンペンまでバス輪行し帰国するルートも考えましたが、国境越えが何だか面倒(両替も言葉もいろいろと)に感じたし、よく考えたらアンコールワットに特段用事もないので、タイ国内を縦走することに決めたんです。

今回は釣竿も持参し、たくさんある水路や沼でちょい釣りをしながら鳥を見て、おいしいものを食べて自転車をこいで北上し、バスで首都にもどるという旅になりました。感想はこれから記事を書いていきます。ご期待いただけたら幸いです。

今後挑戦したい自転車旅

ジンガポール~クアラルンプール間

約450キロ

タイの前に候補に挙がっていたルートだったんだけど、ちょうど雨期に当たってしまうのと航空券が高かったので次回以降にまわしました。比較的都市部をめぐるたびになりそうだし、平坦だし、いざというときはバス・電車という選択肢もあるので難易度は低めだと思います。

あとは予算的にホテルの選択肢が限られているので、お金があるとき(人生において果たしてやってくるのかしらんが)にぜひ行きたい、実現させたいルート。南国の極彩色の鳥たちを見ながらおいしいものを食べたい。

カイロ~ルクソール間

約650キロ

エジプトには行ったことがあるのですが、その時は思考停止の観光旅行だったので、お決まりの遺跡めぐり(寝台特急&ナイル川クルーズ)をしただけで、ローカルの食堂で食事もしていないし、公園でのんびりもしていないし、今から考えるととてももったいないことをしたと後悔することが多いので、ぜひまた行きたいと考えています。

遺跡がなく観光地から離れた田舎を自転車で移動出来たらさぞ楽しいだろうと思います。道もよいはずだし、平坦なのできつくはないだろうが、言葉の壁と宿の確保がちょっと心配です。

ナイル川に沿って南下しつつ、ナイル川で釣りをし、おいしいものを食べエジプト美人を眺め、考えただけでも最高のたびになりそうです。

コシャリ食いてぇ、と今でもよく思うくらい、また行きたい国です。ピラミッドもスフィンクスもアブシンベル神殿も、特段用事はなさそうです。それよりも公園でコーラ片手にコシャリを食いてぇ、と最近そればかり考えています。

ダッカ~コルカタ間

約300キロ

自転車旅の最終到達地点、自転車乗りの聖地はダッカだと勝手に思っています。

バングラもインドも、そもそも行ったことがないのでまったく未知数なのですが、ダッカは交通密度世界一のカオスだということは知っていて、毎年多くの人が交通事故でけがをしたり亡くなったりする無秩序地帯らしい。

そこを自転車で旅行できてはじめていっぱしの「自転車乗り」と名乗ることが許されるような、そんな気がしています。距離的には短いし比較的都市部を移動することになるので、食事と水と宿は何とかなりそうですが…行ってみてこぎ出してみないとわかりませんね。

数年以内に実現させたい。必要なのは踏み出す一歩か。

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