2024年1月、以前より計画をしていたタイ自転車旅行を決行しました。
台湾に続き2度目の海外輪行です。タイで自転車旅行をする際に役に立つであろう情報をまとめておきます。タイでの自転車旅の際に参考にしていただけましたら嬉しいです。
↓動画を撮ってみました。
旅に必要な予算
9日間の旅行の合計は 135,152円となりました。内訳は以下の通りです。
- 往復航空券 95,318円(自転車輸送費12000円含む)
- 宿泊代(8泊) 16685円
- SIMカード15日用 2800円
- タクシー(空港~市内) 1400円
- 高速バス(ピサヌローク→バンコク) 1496円
- 飲食雑費(9日分) 13390円
- お土産 4000円
LCC(エアアジアX)を使ったわりに往復航空券がとても高くなってしまいました。新千歳発着便だったこと、時期的なものなど複数の要素があったと思いますが、やむなしですね。今回利用したエアアジアXでは自転車は「スポーツ用品20キロ」という割り当てを事前購入して当日持ち込みました。
もともとのチケット代に預け荷物は含まれていないので、預けたのは自転車一式(14キロ)のみであとは7キロくらいのバックパックを機内持ち込みしました。
スマホ用のSIMは空港にたくさん会社があるので簡単に購入することができます。どこもカード払いはできず現金のみなので、先にバーツへの両替を済ませましょう。日数や電話番号の有無など選択肢は結構あります。私は最大手のAISという会社のSIMを使用しました。
食事は一食50~100バーツ(200~400円くらい)を基準に考えて大丈夫です。私は疲れからお菓子やらアイスやらコーラなんかの甘いものをとりまくったので、かなり高くなってしまいましたが、2024年現在でも、特にローカルの商店・食堂での飲食はかなり安く済む印象です。
ペプシ500mlは17バーツ、菓子パン20~30バーツ、特に水は安く10バーツで1Lのペットを買うことができます。自転車乗りにはありがたいです。
宿泊費用については以下で詳しく触れます。
両替について
あとでわかったのですが、空港到着ロビーにある銀行カウンターでの両替はかなりレートが悪いです。SIM購入用、市内までの運賃など翌朝までに使う分だけにしておいたほうが良いかもしれません。多めに見積もっても10000円分もあれば十分でしょう。
旅の途中でATMでデビッドカードから現金を引き出したのですが、一回につき220バーツの手数料がかかります。ですがそれを加味しても、デビッドカードでの現地通貨での引き出しの方がかなりお得な印象です。
手元の計算だと1バーツあたり0.7円の違いがありました。大体ですが10000円以上をタイバーツに両替するのであればお得になります。町のいたるところにATMはあり、コンビニやスーパーに併設されているのをよく見かけ、現地の人も頻繁に使っている印象です。
お使いのデビッドカード(VISA、MASTER等)のマークがあるATMであれば、ごく普通に日本の銀行口座から現地通貨で引き出すことができるので便利です。
引き出しの方法については詳しく説明してくれているサイトを参考にしてください。難しい操作は一切ありません。
宿泊事情
今回の旅行では、8泊のうち5泊は事前予約をせずに飛び込みで宿泊しました。
安宿の平均的な価格は350~500バーツです。
日本に比べると非常に安価ですが、必要なものはすべてそろっていて、エアコンはもちろん冷蔵庫もあります。タオル、石鹸はすべての宿でありました。シャンプーは無いところの方が多かった印象です。
やや古いところもありますが、掃除は行き届いていて、ネズミやゴキブリなんかも出ません。その代わり、必ず数匹は蚊が先客としているので注意しましょう。私はかなり喰われました。
自転車旅の場合は、部屋の前に自転車を置けるので上の画像のようなモーテルタイプのホテルをおすすめします。現地では○○リゾートという表記でグーグルマップで表示される宿です。
Agoda やBooking.com など旅行サイトに登録していない宿も、口コミが一定数以上あって、ある程度評価が良いところは問題なさそうです。
価格がわからない場合はグーグルマップの口コミを参考にしましょう。日本語の端末を使っている場合、自動的に翻訳をしてくれるのでタイ語で書かれた口コミもある程度理解できます。価格をはっきりと書いてくれている人もいますし、書いていなくても「安い」と評価があればたいてい500バーツ前後です。
現地に着き翻訳アプリで「予約はしていないけど泊まれますか?」と聞いてみてください。私は一度も断られませんでした。たいてい笑顔で出迎えてくれます。
タイの宿泊施設の良いところの一つは、チェックインが12時から、チェックアウトが12時までというところが多く、その気になれば24時間滞在できてしまいます。特に早い時間のチェックインは自転車旅にはとても助かります。
ルートの選定
AH(アジアハイウェイ)という幹線道路がバンコクから各方面に伸びています。平坦かつ直線で距離を稼げるので目的地まで最短で移動したいときにおすすめです。
自転車侵入が禁止のジャンクションや有料道路にははっきりとその表示がされているか、係員がいるので間違って入ってしまう心配はほぼないでしょう。
私が走ったバンコク~ピサヌローク間は平坦で道も良かったですが、旅情という観点からは旧街道(川に沿って走っている道)をおすすめします。
AH沿いにはガソリンスタンドとそれに併設されたコンビニ、カフェがあるだけで、昔からある街並みを感じることはほとんどなく、景色も変化がないので、旅行そのものが目的の自転車行の場合は、ある程度いなか道を迂回しながら進んだほうが旅が面白くなるでしょう。
私もナコンサワンという町まではAHを走ったのですが、変わらない景色と車の多さ、騒音に嫌気がさしてピサヌロークまでは田舎道を走行しました。そこから旅が楽しくなった感じです。
トイレについて
幹線道路沿いにはガソリンスタンドがたくさんあり、大きなところだと無料で清潔なトイレも併設されているのでまったく心配はありません。
なお、ガイドブックに書かれているような、タイスタイルの和式便所には一度も出くわしませんでした。トイレットペーパーがなく洗浄用の小さいシャワー(ビデ)があるだけのところもあります。でもたいていゴミ箱はおいてあるので、ティッシュを持っていればどこでも用を足せます。
ちなみに、コンビニではトイレは借りていないのでわかりませんが、トイレマークは無かったような気がします。なので幹線道路から外れた場合はトイレを探すのに苦労しそうです。
私は男なのでいざという時でも大丈夫なのですが、女性の場合は幹線道路をメインに行程を練ったほうが、トイレの心配はないでしょう。
交通事情
やたらと車が多い、完全な車社会です。
バンコクを抜け郊外のアユタヤまで走っても、依然としてめちゃくちゃ車が多くて驚きます。幹線道路に関してはピサヌロークまでずっと車が絶えない感じでした。おそらくチェンマイまでそうなのでしょう。
タイの交通の特徴として、信号が少なく、ごつい中央分離帯があることがあげられるでしょう。なので、高速で車が絶え間なく走っているような印象で、対岸に渡るだけでも相当苦労します。場合によっては、道路向かいに目的地があるのに、相当迂回する羽目に。
特に都市部は自転車向きの環境とは言えず、実際に自転車旅行をしている人も、日常的に自転車を使っている地元の人もほとんど見かけませんでした。ナコンサワンの宿でアメリカ人の自転車旅グループに会ったくらいです。
信号が少ない代わりにジャンクション、高架橋が多数あります。どのルートを行けば目的地方向に行くことができるのか、特にバンコク市内は非常に悩ましいです。私は最終日にバスターミナル(MoChit 2)からスワンナプーム空港まで自転車移動しましたが、何度もマップを見て確認しながら進みました。楽しいサイクリングとは言えません。
9日間の自転車旅行で3度パンクをしたのですが、そのうち2回が植物のトゲのようなものが刺さっていたことが原因です。私のクロスバイクはどノーマルなので、それも原因だろうと思われます。パンクに強いタイヤに履き替えておくと安心でしょう。
輪行できる公共交通機関
タイでは電車、バス網が発達しているので、それぞれで輪行が可能です。
どちらもほぼ全土を網羅するネットワークができているので、どこに行っても基本的に帰りは輪行でバンコクまで戻ってくることができるでしょう。
私はピサヌロークからバンコクまでバスで輪行しました。運賃は374バーツ。バスには広い貨物室があるので、分解した自転車であれば余裕でのせることができます。もしかしたらそのままでも載せられるんじゃないかというくらいです。
夜行バス、寝台列車の利用も考えましたが、一長一短でしょう。宿代も浮くし移動時間を観光に充てられるので時間がない旅行者にはお勧めします。でもやはりしっかり寝ておかないとあの暑さにやられてしまうでしょう。
バスはこちらのふたつのサイトで事前予約とカードによる購入が可能です。
https://www.busonlineticket.co.th/
地方の窓口のスタッフは英語が怪しいのと仕事がテキトーなので、ネット購入をおすすめします。
なおタイ国鉄の夜行寝台は人気があり、特に1等寝台はすぐに売り切れてしまいます。ご利用をお考えの方は早めにこちらのサイトから予約を済ませましょう。
https://dticket.railway.co.th/DTicketPublicWeb/home/Home
2等寝台の予約画面は面白いので一見の価値ありです。すでに予約されている寝台の詳細(男女、僧侶)が記載されています。女性は安心ですね。乗ってみたら自分以外全員男だったという事態は回避できます。
食べ物と補給
コンビニ、スーパー、商店、駄菓子屋的なものが日本よりもたくさんあるので、食料と飲み物の補給に困ることはほぼありません。コンビニに関してはセブンの勢力が強めです。
山道や畑の中の道を走行する際はしばらく補給地点が見つからないこともあるでしょう。言うまでもありませんが、水は多めに積んでおきましょう。
固定店舗に加えて、屋台や果物を売っているスタンドも道路沿いに無数にあるので、その土地の名産や季節のフルーツを堪能できます。これも気軽に立ち寄ることができる自転車旅の利点ですね。
私が行った時期(1月中旬)はトウモロコシ、スイカ、ミカンなどが旬でした。特にミカンは安くておいしいので、数えきれないくらい食べました。
野犬と番犬
タイには犬がたくさんいます。
店舗や軒先にはけっこうな確率で犬が寝ていて、あなたが来るのを待っています。普通に大きな道を走行している分にはほとんど問題はありませんが、町工場なんかがある田舎道を走っているときは、門の前を通るだけでも吠えられ、最悪の場合追いかけられることになります。
自転車が珍しいのか、バイクや車に比べて犬に絡まれる機会が必然的に多くなりますね。私は犬が大好きなので、何とか対処できましたが、犬が苦手な人は厳しいかもしれません。こりゃ嚙まれるなという恐怖を感じることが2回だけありました。
万が一追いかけられた場合は、思い切って止まって堂々と立ちましょう。そして大きな声を出すか石を投げるそぶりをするしかありません。逃げると余計に追いかけてきますし、転倒や交通事故を誘発しかねません。落ちついて止まって対処しましょう。
といっても、おとなしくてかわいい犬がほとんどなので、交流を楽しんでください。
暑さと虫さされ
暑さと日差しは強烈でした。
当然ですが休憩と水分補給は多めにしましょう。そして、味の濃いものを食べるようにしてください。体がもちません。
日焼け対策として、肌は極力見せないような服装にしましょう。現地の人もスカーフなどで顔を覆っている人が多かったです。タオルや手ぬぐいを取り出しやすいところにしまっておいて、水が使えるところで濡らして顔や体を拭くとさっぱりします。
蚊はとても多いです。ホテル到着後はつい気分が開放的になり、素足にビーチサンダルを履きたくなりますが、確実に翌朝以降に後悔をすることになるので、靴下をはき、上下とも長袖長ズボンスタイルで頑張りましょう。暑いので辛いですが、かゆさに比べればマシでしょう。
蚊以外の虫にも注意が必要で、私はノミにやられました。あと原因不明の湿疹もできて数日痒さに苦しみました。即効性のあるかゆみ止めは持参したほうがよさそうです。
まとめ:郊外は自転車に優しい
バンコク市内の自転車移動は極力避けたほうが良いでしょう。
私はスワンナプーム空港到着後、ミンブリというバンコク郊外のエリアまでタクシーで移動し、そこで自転車を組み立てて北へ向かって走り出しましたが、それでもアユタヤを過ぎてしばらく行くまでは、あまりの車の多さに圧倒されました。
郊外に出れば、道の状況もよく、補給地点もおいしいものもたくさんあり、珍しい野鳥の姿やサエズリ、美しい田園風景も楽しむことができます。
宿も食事もまだまだ安価で、そして何より、タイの人は穏やかで距離感がちょうどよいので、居心地がとても良い印象でした。特に地方の宿のオーナーさんは皆さんとても親切なんだけど、けして話し過ぎず、これぞホスピタリティ!という素晴らしい歓迎を受けました。
海外輪行はこれが2度目です。今後も年に1度程度は実行して経験を積んでいきたいです。これまでの履歴と展望はこちらのページでも触れていますので、ご覧いただけましたら幸いです。