自転車で旅行をする、そう聞いてあなたはどういう印象を持つでしょうか。
暑い、きつい、雨で泥だらけになる。いいところがないように思っている人も多いでしょう。でも実際のところ、自転車旅行は中高年にしか楽しめない贅沢でことだと私は思っています。
ということで、この記事では中高年こそ自転車で旅に出てほしい理由を8つの項目に分けてお話をしていきます。
私は台湾とタイを自転車で旅をしてきました。参考にしてください。
新しい旅の楽しみ
ある程度の年齢になると、ちょっとやそっとのことでは楽しみを見出せなくなってきます。
国内はもとより海外旅行もたくさん経験しているし、世界遺産も絶景も観たし、少数民族にも会ってしまった。もう旅行に関しては何も目新しいことは無いように思えてしまうでしょう。
そんなあなたにも自転車旅は新しい感覚を与えてくれるはずです。
観光旅行とは違うもの、本当の旅がそこにはあると思います。
あなたはどこで何をしても自由です。お決まりの観光コースをめぐる必要もありません。本当に心から好きだと思うことができる瞬間を求めて、行ったり来たりすることができます。
そして、まだまだ知らないことがあると気がつくことができるでしょう。幹線道路から外れて路地を進んでください。そこに暮らす人たちの日常を見ることができます。
思っているより安全
自転車旅行は危険なんじゃないか、そう思う人がまだまだ多いと思います。
毎年数件でしょうか、自転車に乗っていた人が死亡する事故がニュースになりますよね。だから自転車=危険と思い込んでいる人も多いと思います。
ですが、統計的に特段自転車が危険だとは言えません。また、当然ですが、乗り方や安全に対する意識、装備によっても大きく違ってきます。
車の運転と同様で、乗る人次第で大きく変わるものです。
以下のことに十分気を付けていれば特段恐れる必要はありません。ほかのスポーツと危険度は大きく変わらないでしょう。
- ヘルメットをかぶる
- まっすぐに走る
- スピードを出さない
- 夜間は走行しない
- 適切なルートを選ぶ
ちょうどよい機械感
クルマやバイクは複雑です。素人には手に負えません。
その点自転車は比較的単純な仕組みで出来ています。
ブレーキも変速機も、ワイヤーを引っ張ってコントロールをしています。最初は複雑に見えますが、自宅でゆっくりネットやYouTubeを見ながらバラして組み立てて遊んでみてください。
仕組みがすぐに理解できるでしょう。
手におえるちょうどよい複雑さの機械なのであなたを成長させてくれるでしょう。手先の器用さ、我慢する力を養うことができますよ。
機械に苦手意識がある人でも、パンクしたときの対処法(チューブの交換)さえ理解していれば、旅先でまったく動けなくなるということはないでしょう。
できれば自宅で一度、タイヤの組み換えをしてみることをおすすめします。
程よいスピード
ロードバイクやクロスバイクに乗ると平均時速15~20キロで移動することができます。
単純計算で6時間漕げば120キロ移動することができます。この数字は5日間で東京~大阪間を移動できるスピードです。
このスピード、ちょうどいいと思いませんか? 自分の脚力だけで一日100キロ以上移動できることに驚きますよね。
もちろん、坂の有無や交通状況によっても漕げる距離は左右されます。
私は一日80キロくらいがちょうどよい距離です。それでも実際に漕いでいる時間は4~5時間なので、あとはゆっくり観光をしたりおいしいものを食べたり、好きなことをして過ごせばよいと思います。
かぎりない自由度
自転車旅には自由があります。
ツアーや公共交通機関を使った旅行ではコントロールできないことも、自転車旅だとあなた次第でどうやろうと自由なのです。
一日100キロ移動してもいいし、途中で気になるお店やイベントを見つけたら、その場で立ち止まることもできます。基本自由です。
駐車場所にも困りません。そして、車やバイクよりも入っていける道が多いです。歩行者専用道、高速道路以外は基本的に自転車で侵入が可能です。
思い立ったときに好きスタイルで旅行が楽しめます。こんな素晴らしいことは他では経験できません。
普通の旅よりお金がかかる
自転車本体とその他の装備で最低でも10万円強は必要になります。
20万円の予算はほしいところです。
そして、普通の車や公共交通機関を使用した旅行よりも日数がかかるので、当然宿泊費も食費もかさみます。交通費はかからないのですが、結局旅行の総額は高くなってしまいます。
自転車を漕いで雨に打たれ風に戻され大変な旅なんですが、これは贅沢なことなのです。ある程度経済的に余裕がないとできないことなので、なおのこと中高年の方にお勧めしたいのです。
台湾、タイで出会った自転車旅の人たちは、私と同世代か上の人が多かった印象です。50代がもっとも多かったと思います。
お金にも時間にも余裕がないとできないのが、自転車旅なのです。そして、その良さがわかるのも、ある程度経験を積んだ人たち(中高年)だと思います。
天候とトラブル
私の友人はこんなことを言っていました。
「旅に出るのはひどい目に会うためだ」と。
もちろん、ひどい目にあうことをねらって旅行をする人はいません。でも結果的にちょっとしたトラブルに遭遇して、きちんと帰ってこれたときはそれが良い思い出になりますよね。
トラブルに遭遇すると、必然的に人に頼ることになります。
普段の生活だと私たち現代人は恵まれているので、他人の力を借りずともほぼ一人で生きていけます。でも旅先で困ったことが起こると人に助けを求めることになり、そこから新しい出会いを得られるのです。
もっとも身近な困りごとは天気です。これはどう頑張っても思うようになりません。
雨が降ったらその場にとどまればいいのです。その結果として観ることができる風景、出会う人たちがあなたを待っています。
回り道や停滞は運命だとおもってください。初めから決まっていたと思うと気持ちが楽になりますよ。
自転車性能の向上と環境の変化
ここ10年くらいで自転車の性能は格段に上がりました。特に安くてよいものが手に入るようになりました。利用者が増えたこともあるでしょう。
10万円以下で十分な性能のクロスバイクを入手できます。軽くて丈夫、サイズ展開も豊富なので体の大きさに合わせて車両を調達できます。小柄女性でも大丈夫です。
自転車をめぐる環境も大きく変わりました。
各地に自転車専用道が作られています。ヨーロッパは言うまでもなく自転車に関しては先進国ですし、日本国内にも自転車専用道は多数あり、安心安全に走行することができます。
私は台湾を縦走しましたが、当地でも海岸線など景色が素晴らしいところに自転車専用道が整備されていました。むしろ自転車じゃないと楽しめない旅もたくさんあると言えます。
飛行機はもちろんのこと、公共交通機関にも自転車を乗せることが一般的になってきているので、自転車で旅をすることに不便さは感じなくなってきています。