海外飛行機輪行の方法と自転車の梱包について

海外で自転車を漕ぎたい。そのためには自転車を飛行機にのせなきゃいけません。

慣れればそんなに難しいことはないのですが、最初は何をどうしたらよいか戸惑うものです。私も幾度か失敗をしてきました。

この記事では特に国際線に自転車を乗せるときに気をつけたいことを書いていきます。これを参考に海外輪行を楽しんでいただけたら、私も嬉しいです。

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海外輪行の概要

飛行機に自転車を乗せること自体は一般的なことで、カウンターで断られることはまずありませんが、航空会社によって決まりがあります。各社微妙に違っているので事前にウェブサイトでレギュレーションを読んでおくことをおすすめします。

ほとんどの航空会社で共通しているのは、タイヤ(2本とも)とペダルを取り外している状態で、適切な袋に入っていること、が預ける条件となっています。

でも、それだけだと壊れる原因になるので、私はハンドル、ディレイラーも取り外すようにしています。詳しい梱包の方法については後述します。

飛行機に乗せる料金

一般論ですが、レガシーキャリアと呼ばれる大手航空会社、スターアライアンスとかワンワールドとかに加盟しているエアラインは、預け荷物の重さの許容範囲内であれば、自転車でも特別料金なしでのせることができます。だいたい30キロくらいがもともと付いているので自転車は余裕でのせることができるでしょう。

逆にLCCは「スポーツ用品○○キロ」という預け荷物の枠を購入してのせるケースが多く、WEBサイトでチケットを買ったときにオンラインで同時にその枠を購入できるパターンと、搭乗当日にカウンターで追加料金を支払うケース、この2パターンが考えられます。

ものすごく稀なケースだと思うのですが、特殊荷物のスペースがいっぱいになってしまい断られるケースもあるみたいなので、早めにチェックインをするに越したことはないでしょう。

なお、シンガポールを拠点とするLCC「スクート」は別料金ではなく、通常の預け荷物の枠内の重さであれば自転車を乗せられます(購入しなければいけないのは同じだが)。台湾、シンガポール、マレーシア方面へ行くのであればスクートがおすすめです。機材も787なので快適です。

具体的な梱包方法

ここからは私の梱包方法をご紹介します。これが正解というわけではありません。一例として参考にしていただければ幸いです。

タイヤ

前後とも取り外し、フレームに固定します。空気はぶよぶよになるくらい抜いてくれと係員から言われることがありますが、そこまで抜く必要はありません。もしあなたのタイヤの空気圧の適正範囲が 3.5 – 5.9bar だとしたら、3.5bar にしておきましょう。

貨物室は0.8気圧と言われています。なので地上より約2割増しになると考えても 3.5×1.2= 4.0 なのでバーストすることはありません。すぐにこぎ出したい場合はこんな感じで規定値の最低付近にしておきます。

特に日本から出るときは、係員の方に「もっと空気を抜いてくれ」と言われますが、もしバーストしても責任は私にある、だからこのまま載せてくれ、と言えばのせてくれます。あくまで私のいままでの経験からですが...

心配であればぶよぶよになるまで抜いたほうが、機内でリラックスできるでしょう。どちらを取るかですね。

スキュワーナットと呼ばれるハブに刺さっている棒も抜いておいたほうが、突起が少なくなるので安心です。

ハンドル

ハンドルも基本的に取り外したほうがよいでしょう。アーレンキーで簡単に取り外すことができます。

取り外したハンドルはフレームかフロントフォークに固定します。ワイヤー類に負担がかからないベストなポジションがあると思うので、探してみてください。これはお使いの自転車によって変わってくるでしょう。

ハンドルを外すと、フロントフォークの先端部分が床につくことになるので、何かやわらかいものなどをかぶせておきましょう。

リアキャリア

リアキャリアは私の輪行にとって必要不可欠なものなので、必ず付けていきます。

私の方法なのですが、サドル側のネジだけを外しておいて、キャリアをサドル側に寄せて固定をしています(上の画像)。後輪側のネジは外していません。こうすることによって、組み立ても楽ですし、後輪側の補強にもなり一石二鳥というわけです。

うまく伝わっているだろうか。

ディレイラー

ディレイラーはアーレンキーで一か所回すだけで簡単に外れます。

外したディレイラーは余っているチェーンと一緒に大きめのジップロックに入れてフレームに固定します。

後輪を外すとディレイラーだけが飛び出した状態になり、ちょっとした衝撃で簡単に壊れてしまいます。常に自分のそばに置いておける電車などの場合はエンド金具でもよいでしょうが、飛行機にのせる際はディレイラーは外しましょう。

なお、微調整が必要になる場合もあるので、必ず出発前に何度か取り外しと取付の練習をしておきます。

工具

工具一式を入れたポーチをフレームに付けておきます。

工具類は凶器になりうるので機内持ち込みできません。アーレンキー、パンク修理キット、外したペダル、替えチューブなど一式を入れたものを、しっかり封をしてフレームに固定しておきましょう。

さかさまにされたり、意外と適当な扱いを受けることもあるので、中身が飛び出さないようにしておきます。

輪行袋

クッション素材が入ったしっかりしたものだと、当然安心なのですが、組み立てた後どうすればいいのか困ってしまいます。重たくてかさばるものを持ち運ぶわけにもいかない。

もしハードケースやクッションが入ったしっかりしたものを持っていくなら、初日に宿泊するホテルで帰国まで預かってもらうのもよいかもしれません。

私はある程度丈夫なナイロン製のオーストリッチの輪行袋を使用しています。そして、移動中はフレームに取り付けています。そうすることでいつでもバスや電車で輪行が可能になります。

ソフトケースによる輪行は身軽ではありますが、壊れるリスクがつきまといます。それを理解したうえで飛行機にのせるようにしてください。

チェーンオイル

オイルは機内持ち込み、預け荷物ともに禁止なので、持っていくことはあきらめたほうがよさそうです。

数度の雨も耐えられる粘度の高いものを事前に塗布しておくか、現地の自転車屋さんやバイクのガレージなどで差してもらってもよいでしょう。もちろん断られることもありますので、期待せずに聞いてみましょう。

修理キットの接着剤

厳密に言うと、パンク修理の際に使うゴム系接着剤は預け荷物に入れることはできません。ですが私はごく少量なのでそのまま載せています。

X線検査の担当官がすごく細かい人の場合は、中を開けられてめちゃくちゃにされるかもしれません。事情を話して機内持ち込みにするのもありでしょう。

私は工具と一緒に輪行袋の中に入れていますが、一度も指摘を受けたことはありません。

そのほかのコツについて

固定はマジックテープが便利

ハンドルやタイヤをフレームに固定するにはマジックテープがとても便利です。軽量で丈夫だし、締付も容易です。

手芸店でメートル単位で販売しているので、適当な長さに切って使うようにしましょう。いろいろ試しましたが、私はマジックテープ以外はダメでした。

どこを持たれても大丈夫なように

肩掛け用の紐を袋から出しておくのですが、空港のスタッフは必ずしもそこを持ってくれるとは限りません。なので、どこを持たれても大丈夫なように、ガッチガチに固定できると安心です。

袋の中でパーツが動いてしまうと、傷もつくし壊れる可能性も高くなるでしょう。

お使いの自転車によって、ベストな梱包方法は違ってくるので、出発前にじっくり予行演習をしてください。

なるべく早くチェックイン

早めのチェックインをおすすめする理由は二つあります。

一つ目は先ほど述べたように、大型荷物のスペースが埋まってしまった場合に断られる可能性があるためです。私の住む北海道へやってくる旅行客は、スノーボードやスキーを持参していますし、私が訪れた台湾、タイ行きの便には、ゴルフバッグを乗せる人がとても多いです。

なので、それら特殊荷物用のスペースが埋まる前にのせてしまいましょう。各社のウェブサイトにも、スペースがなくて断る場合がある旨、記載があります。

二つ目は、やはりスタッフに心の余裕がある状態の方が丁寧に扱ってもらえる可能性が高くなると思うからです。ぎりぎりで荷物を預けると、乱暴に扱われるだろうし、ロストの可能性も高くなるでしょう。チェックインがはじまったら速攻で預けてしまいましょう。

最後は運と祈り?

完璧に梱包し、自転車をカウンターで預けたら、あとはもう無事に運ばれることを祈るしかありません。

私はソフトケースを使っているので、最悪壊れたらどうしようかと考えています。一番あり得るのは、ホイールの歪みでしょうか。

ホイールは外側になるので、他の荷物が当たってスポークが曲がることは起こりえるでしょう。なので、スポークの本数が少ないロードバイクよりもクロスバイクやランドナーの方が壊れる心配は少なくなります。

と言っても壊れるときは壊れます。自転車を乗せるときには、航空会社に責任を追及しない旨のサインをさせられるので、やはりそういうケースもたまに発生するのでしょう。

まとめ:漕ぎだすまでが面倒だけど

梱包し空港まで運び、預け、現地で受け取り、組み立てる...この流れは確かに面倒で骨が折れる作業ではありますが、ひとたびペダルを踏み始めると、それはもう最高に楽しいので、ちょっとのガマンをしてぜひ経験をしていただきたいと思っています。

他にもクロスバイクに関する記事がありますので、よかったらご覧ください。あなたの旅が安全で、新しい発見にあふれたものになることを祈っています。

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