今更かよと言われてしまいそうですが、GTA5というゲームをPS3で遊んでいます。時々起こる無性にゲームがしたくなる衝動に抗うことができずに、先日フリマサイトで中古のPS3本体とソフトがセットになった物を購入してしまい、二つあるPCモニターの一つへHDMIで接続し、片方はゲーム画面、もう片方は動画サイトという陰キャ丸出しのデスク周りとなってしまいました。
GTA5は2013年のソフトなのでもう10年以上前のゲームなんですね。ご存じの通り非常に悪趣味かつ暴力的なゲームで、それでも世界で2番目に多く売れたソフトとして絶大な人気を誇っているようです。
ゲーム内で車で人を撥ねてしまってもなんとも思わないのに、田舎を闊歩する野犬や鹿などを曳いてしまうと無性に後悔し徒歩に切り替える自分を発見して、なんだか歪んでるなとちょっと暗い気持ちになりました。
そんな暗い気持ちを引きずりつつ、今回も懲りずに渓流に足を運びます。
どこもかしこも濁ってる
すこし違う景色や自分にとって新しい流れを見たくなったので、足が遠のいていた厚真方面へ釣りに行くことにしました。
石狩、空知、胆振など道央は4日前に大雨が降りましたが、中3日開けているのでさすがに水量は落ち着いているだろうと予想した通り、たしかに水量は落ち着いていましたが、いかんせん濁りが完全に取れておらず支流カフェオレが本流みそ汁に注ぐという表現がぴったりな水辺の景色が広がります。
この日、鵡川の東西で流れの質がはっきり分かれていました。入りたかった鵡川の西側の山から発する支流はことごとく激濁り。まさにマウントレーニア色というたとえがぴったりの状態でしたが、橋を渡り東の緒支流に赴くと笹濁りの川が多くて釣りになるのでした。
それにしても長く広範囲にシトシトと降る雨は珍しくなりました。かわりに局所的にものすごい雨が短時間に降るといったことが日常茶飯事となり、私が幼かった時と比較すると、天気というより気候が変化したことは疑いようがありません。冬が短くなり夏が暑くなりスコールが降るようになってしまった。
さて肝心の釣りですが立て続けに新規の2川に入渓しそれぞれ1時間程度探ってみるものの反応はまったくない。反応がないということは魚がいないということではなく、ほとんどの場合その原因は単にウグイと虹鱒が生息しておらず山女魚と岩魚の川なんだと私は判断します。
ウグイと虹鱒は時と状況と腹具合を考慮せずエサらしきものが視界に入ったら反射的に口を開けて喰いついてくるのでそこに魚がいれば釣れちゃいますが(豊平川の激スレ虹鱒連中は除く)、岩魚と山女魚に関しては繊細にできているらしくそう簡単には釣れてくれません。
釣れない時間帯、要するにマズメ時がやんだ直後などは全くと言っていいほど反応に乏しくなります。だから釣れなかった川、特に人がほとんど入らない小河川でまったく釣れないとなると、その川は虹鱒不在の川なんだと思うことにし、再度季節と時間を変えて訪れるようにしています。
話を戻し要約すると、”初めての2川で惨敗”してこの時点で13時過ぎ。レンタカーを余裕をもって返却することを考えると、移動してあと一つの川に入るのが精一杯というところ。状況的には非常にマズくなってきました。
たくさん釣れた時に録りだめておいた渓魚の動画を使って釣れたテイでこのブログを書くという”悪事”も一瞬頭をよぎりますが、釣果はすべて販売させていただいているマップに反映している都合上、購入している方が本気で照合すればすぐに偽釣果だとバレてしまうのでやめておきます。
いさぎよく今日はボウズもあり得るなと車内で腹をくくりました。
スルーしていた川
算数がイマイチ理解できず蝶結びも何度やっても縦になってしまい呆然自失として親の待つ自宅に逃げ帰る新小学一年生のように、勝手知ったる夕張のいつもの川で紙面の体裁を保つための虹鱒でも釣って帰ろうと、北へ向けハンドルを握ります。
その道中に幹線道路と並走している川が数本あり、それが注ぐ本流はウグイだらけなのを知っているので今日まで探らずにいたのですが、何か直感めいたものがピンと来たので川に降りられそうな橋に車を停めて震える手で釣りの支度をします。
焦る気持ちを押さえて釣り支度をなんとか済ませて小石につまずきながら河原まで下りたところで手ぶらであることに気がつき、半分涙目で歯を食いしばり車まで取って返しロッドを手に取ります。半日釣れない状態が続くと焦る気持ちだけが前面に出てしまって何をしても空回りとなってしまうから本当にやなもんです。
この川も濁っています。強めの笹濁りといった感じで、水深30センチでも底が見えないくらいです。入渓直後、小沢からの流れ込みでさっそくドライの毛ばりに反応がありました。背中が黒っぽく見えたのでウグイだったかもしれないけど、とりあえずまともに釣りができる川だと判断し、今日の残りはこの川と心中することを決意します。
何度か水面の毛ばりをたたきに来る魚を目にしましたが咥えてくれなかったので、笹濁りの定番である赤金のビーズヘッドニンフに切り替えます。
国道と並走しておりそこそこ人は入っているはずなんだけど思いのほか渓相も雰囲気も良くてそれこそウキウキ状態で残り時間をいっぱいまで使って釣りあがります。途中しっかりした手ごたえのある魚を何度か掛けますが、いずれも直後にバレてしまうということが続いて、本格的にボウズの3文字が頭をよぎります。なんだが今シーズンは毎回この3文字が電光掲示板を流れる赤の点文字のように脳内に再生されている状態です。
釣り人にありがちですが、大きい魚の口からは毛ばりがすぐに外れるのに、小さい魚の口からはなかなか毛ばりが外れないという”理不尽”が今日も起きて、掛けた魚のワースト3のみ手元まで寄せることができました。なんてことだ。
山女魚12cm、15cmセンチ。小ぶりだけどウグイではなかったので期待が膨らみます。そして立て続けに虹鱒18センチ。どうやらなんでもいますよ系の川みたいです。岩盤の渓なのでもう少し上流に行けば岩魚も釣れるはずです。これは思わぬ収穫でした。
あらためて思ったのですが、気になった川は橋から眺めるだけではなくて実際に河原に立って魚の反応を見てみなければいけない。この川にはいくつか釣りができる規模の支流もあるしフトコロもかなり深いはずなのでしばらくは遊べそうです。おそらく次回の釣行もこの川とその支流がメインになるでしょう。
時間まで入渓点で粘る
脱渓し行き交うドライバーの好奇の目に晒されつつ道路をスタスタ歩き、車にもどった時点で15時40分、現地を16時半に出ればいいので、もう一度入渓直後の好ポイントを時間ギリギリまで探ってみることにしました。
この”往生際の悪さ”はたいてい良い結果につながらないのですが、2時間前にドライの毛ばりに反応があったので一縷の望みをかけて再集中します。
見過ごしがちな落ち込みの脇、広さで言うと直径30センチくらいの流れが死んでいるポイントめがけてフリッピングで毛ばりを一直線に飛ばします。私のテンカラはフリッピングを使うことのほうが多くなってしまい、もはや”純正テンカラ”とは言えなくなってきました。言うなれば”フリテン”だろうか。縁起でもない。
指からはじかれた毛ばりは狙い通りに着水。水面では出なかったけど沈み始めた直後にたるんでいるはずのラインがピンと張り、瞬間対岸のヤブか水中の草に毛ばりが刺さったかと怪しんだがソリッドカーボンのやわらかい穂先からは魚の動きが伝わってきます。
虹鱒のように走ることもなく、一度ひねりを加えた程度で比較的簡単に手元まで寄せることができました。
24センチの山女魚。ウッホッホとわけのわからない歓喜の奇声を発しておじさんは一人河原で今日のこの劇的なドラマを振り返り一人満足に浸ったのです。
いや、こんなドラマはいらないのです。最初の川の第一投でこの結果が欲しいのです。暑い中あちこち川をめぐり、汗をかきながらウェーダーを履いたり脱いだり、震える手でハリスを切ったり結んだり舐めたりなんかしたくないのです。
それでも必然的にドラマチックな展開がたびたび起こるのが渓流釣りというものだと思います。求めてはいないけど、結果的にこれがあるから中毒性があるんでしょう。
この際だからもう一匹釣っておこうと周囲のポイントで粘りますが、アタリはあれど2匹目のドジョウとは為らずタイムアップとなりました。
帰りがけに行き交った近所の農家さんからなぜかトウキビをたくさんいただき、山女魚の記憶と旬の野菜を抱えて、ニヤニヤしながらハンドルを握り帰路についた次第です。今これを書きながら茹でたトウキビをかじっていますが、やはりもぎたては抜群に旨いです。おっちゃんの親切に感謝します。
釣行データ
天気と気温
- 晴れ時々曇り
- 現地最高気温28℃
タックル
- ロッド:DAIWA NEOテンカラ36 / DAIWA 清流X45
- ライン:レベルライン4号
- ハリス:ナイロン1.5号
- 毛ばり:#12赤金ビーズヘッド
釣った魚
- 山女魚4匹(最大24cm)
- 虹鱒1匹 18cm
確認した野鳥
- カワラヒワ
- カルガモ
- ヒヨドリ
- シジュウカラ
- アオサギ
- カワガラス
- キセキレイ
- ハクセキレイ
- キジバト
- チゴハヤブサ
- キジ
- トビ
- アオジ
上の画像はキジ(コウライキジ)のご家族です。車で通過して散らしてしまって申し訳ないことをしました。
実は北海道にはキジの仲間の自然分布は本来なく、現在北海道で見られるキジは昭和初期に狩猟目的で朝鮮半島から移入されたコウライキジという亜種になります。
そこまで珍しい鳥ではありません。草原や灌木林があれば住宅地の近くでも観察することが可能です。それでも、親子連れを見たのはこれが初めてでちょっとびっくりしました。
成鳥のオスはかなりド派手な見た目になるので私にも同定が可能ですが、この群れにはいませんでした。顔が赤くなっているのがオスの幼鳥と思われ、計5羽のうち3羽はそのオスの幼鳥で残り2羽がメスの成鳥要するに母親かメスの幼鳥であったと思われます。
自分たちの祖先が狩猟目的で連れてこられた事実を知らないことは幸せなことだと思います。彼らは先祖代々この地で生きてきたと信じ今日も虫を啄んでいるのでしょう。それでなんら構いません。家格や血筋に固執すると今を生きづらくなります。
さて、前回書いた自宅近くで営巣していたチゴハヤブサはそろそろ渡ってしまいそうで、私はひとりハラハラしています。親鳥が巣立ちを促すように幼鳥を追いかけまわす姿も目撃しました。もうピロピロ鳴いてもトンボを口まで運んでもらえないので自分で捕まえる必要があります。なかなかに切ない光景ですが彼らも生き抜いていかねばなりません。
今回は念願だったまともなサイズの山女魚を手にすることができたし、鳥見の面でも新しい発見があったので記憶に残る一日となりました。文中でも触れましたが次回もこのエリアを探ってみようと思っています。
だらだら長い釣行記を最後までお読みいただきありがとうございました。