【2024/10/1】胆振~南空知渓流釣行

久しぶりに、それこそ5年ぶりくらいにちゃんとパンを焼きました。強力粉とドライイーストと水、砂糖と塩とオイルだけの素朴なパンですが、焼きたてにバジルを浸したオリーブオイルなんぞをつけてかじりつくとこれ以上に旨いものは無いというくらい美味ではあります。

でも、パンを焼けるということは相当にこころに余裕があるということの表れで、買ったほうが早いし、慣れればなんてことはないけど2回の発酵と放置という時間のかかる工程を踏む必要があるし、洗い物も余分に出てしまいます。もちろん手もべとべとになる。

毎日生地を捏ねパンを焼ける人は安定して揺るぎがない人なのでしょう。私も最近になってやっとそういう心を取り戻すことが出来、なるべくこの状態をキープしたいと思っています。

発酵モード付オーブンなどの家電がなくても、なべとボウルとお湯を利用して発酵はできるので、なんか最近のオレって落ち着いているなと思われた方はぜひ挑戦してみてください。

今回は焼き立てパンの甘い香りを身にまとったおっさんが空知南部の河川をめぐってみた記録です。

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鵡川穂別の川

草原のノビタキ♀

何度かすでに記事内で書いていますが、私は車を所有してないので釣行時は基本的にレンタカーを使います。

徒歩圏(と言っても15分ほど歩く)にニコレンがあるので毎度同じその店舗を利用しているのですが、事前説明をするほうもされるほうも「これ必要あるのかなぁ」と思いながら店員のお兄さんといつもの”茶番”を一通りしてから車に乗りこみ、通勤通学の人の波に逆行し過疎の町を流れる清流に向かいます。

まず向かうのはもっぱら開拓中の鵡川穂別の流れです。目星をつけておいたポイントに車を停めて釣りあがっていきます。

幸いにも先行者はいないようす。初めて入る区間ですが大きく蛇行を繰り返しいかにも大物がついていそうな淵が連続してます。ですがこの日はやや渇水気味でかつ水も澄んでいるので大物狙いには向かないコンデション。

それでも気候的に北海道は今が一番渓流釣りをするには良い時期です。それにも関わらず釣り人の姿はあまり見かけません。入渓も楽だし魚影もまぁまぁ濃い川なんだけどな。なぜここに入らないのだろうかと不思議に思うくらいです。

そういえば先日、少し遅くなった墓参りを兼ねて尻別川で30分だけ釣りをしてみました。グーグルマップで目星をつけておいたポイントに到着すると車の傍らでゆっくりと釣りの支度をしている恰幅の良いおじさんがいました。いかにも幸せな光景といったかんじ。

「こんにちは、これからですか?」と問うと「そうだよー」とのことなので私はほかの釣り場を探すことにしましたが、聞いてもいないのに彼は「いやーここは小さいのしかいないから~」といいつつ、ギラギラ光る眼で仕掛け作りに余念がない様子。

「なんかおかしくないですか?小さいのしかいないんでしょ?笑」という言葉をすんでのところで飲み込んで、お互いの幸運を願いつつ別れました。

釣り人の言葉の真偽を見極めることは非常に難しいのですが、素直に釣果をいう人はあまりいない印象で”嘘をつくことはないけど本当のことは言わない”というスタンスの人が多いでしょう。

実は気にするべきは釣り人以外の一見なんも警戒する必要がなさそうな人なんです。たとえば、私もよく声を掛けられる道路工事の交通誘導の方や治山工事の関係者の方たちです。

特に大物が釣れた後なんかは心が大きくなっているし誰かと喜びをシェアしたいという気持ちもあり、聞かれるとついつい「大物が釣れました!」なんて言ってしまいそうになりますが、その情報はあっという間に洩れるかもしれないので要注意です。

その人が釣りをしなくても、友人と飲んでいるときなんかに「そういえばさ、この前○○川の近くの現場に入ったんだけど、釣り人がいて大きいのが釣れるって言ってたさ」なんてヒトコトからいとも簡単に釣り場の情報は洩れていきます。

だから私は釣り人じゃない人に「ここで何か釣れるんですか?」と聞かれた際には「あまり釣れません」とか「ぼちぼちです」とか答えるようにしています。大物が釣れた後なんかは上がる口角を下げるのに必死でおそらく相当キモイ顔になっていることでしょう。

いささか話がそれました。その後すこし上流のポイントから入渓し30分だけ尻別川で釣りをしましたがアタリすらありませんでした。サクラマスやシロサケが遡上していてもおかしくない時期でしたが、それらの姿も見かけません。どうなんでしょうね、今年は数が少ないのか、そもそも堰堤などの影響でそこまで遡上できないのか。

さて、当日の鵡川穂別の釣りですが、やはり水の少なさが影響し難しい釣りになりました。もうあきらめて脱渓しようかなと考えながら振り込んだ毛ばりにやっとまともなアタリがあり、無事に手元まで寄せることができました。20cm強のヤマメです。

しっかり毛ばりを飲み込んでちょっと出血し心配でしたが元気に川に戻っていきました。何とか生き抜いてくれるとよいのですが。

カワガラスという先行者

河原で遊ぶカワガラス

鵡川穂別の川、このあと書く夕張の川両方でカワガラスが常に私を先行する状態が続いて、さすがにちょっとイラっとしました。

私が近づくとビビビビと言いながら上流に向かって飛んでいき、いかにも魚がついていそうな落ち込みなどにドボンと入水し気持ちよさそうに水浴びをしたり潜水したりして私の到着を待ちます。

私が接近するとまた飛翔し、ビビビビと言いながら次のポイントへバシャンとド派手に着水しまた水浴びをしたり潜水をしたりして明らかにふざけている様子。

いくらアプローチに気を使ってもそんなことをされたんじゃ、私が毛ばりを入れる前に魚は散ってしまい警戒心が高い状態になってしまいます。

防ぐ手立てもないし、ちょうどお互いの遡行計画がバッティングしてしまったらもうあきらめるしかありません。彼らが着水しなかったポイントを見ておいてそこでワンチャンにかけるしかないのです。

夕張の某支流

紅葉前の夕張の森

さて、先ほどの鵡川穂別の川を脱し車道をトボトボ歩いて車まで戻った時点で11時半。一度夕張川の支流で大物虹鱒の気配を探ってみることにします。そしてその後、最近釣っていない岩魚を探しにもう少し上流へ移動してみる魂胆です。

8月だったと思います、夕張エリアでは記録的な大雨(観測史上1位)が降り、その後その地区の川には入っていなかったのですが、明らかに流れの筋が変わっていて毎年大物がついていた淵や落ち込みが消えてしまっていました。

幸いその川の上流にダムは無いので、きちんと大小の岩や石が流失した分だけ供給されてまた時間の経過とともに新たなポイントが形成されていくのでしょう。定期的に通って様子を見たいと思います。

虹鱒は出ましたがいずれも尺に届かないサイズです。アタリはたくさんあったので飽きずに結構長い区間を一気に駆け上がりそそくさと脱渓し予定通り上流へ移動することにしました。

上流に向かう前に途中のセイコーマートに立ち寄りいつものガラナとようかんホイップパンを購入していると店内には綾香さんの「みんな空の下」が流れ、頭のなかでは私と虹鱒と岩魚と山女魚がニコニコ笑顔で手をつないで川を渡っている光景が広がります。

ちょっとドヤ感がキライとか悪口を言いう人もいますが、彼女は文句無しにうまいですよね。あんな風に歌えるとどんな気持ちなんだろうか。

生まれ変わったら大型トラウトになってハンドメイドミノーを追いかけるという夢もありますが、実力派歌手になってその歌声を伸ばしに伸ばしてみたいものです。David Bowie の Life on Mars なんかをカバーして、最後のマぁーーーーズを死ぬほど伸ばしてみたい。

いずれにしても何らかの才能に恵まれた一生を生きてみたいものですが、取り急ぎふがいない現生を何とかソフトランディングさせなければいけません。あぁ面倒だ、誰か変わってくれんか。

夕張川本流

崩れた護岸壁

さてそんな現生への不満を抱えつつ私による綾香カバー風の life on Mars を車内で熱唱しながらやってきた上流域。初夏に結構近い距離でヒグマに遭遇して以来人知れず自粛をしていましたが、いい加減その禁を解き少し渇水気味の川に目を細めつつ渋い顔で降りたちました。入渓はバッチリきまりました。

やはりここも豪雨の影響で岸がえぐられ土の層があらわになり護岸のコンクリートは豪快に裏返っています。ここで狙いたいのは岩魚一択。確かに大きな虹鱒もいるのですが、それを釣るならもっと他に効率が良い場所がある。

実績のある区間を2時間かけて4往復しました。2度大きなアタリがありましたがいずれもでっぷり太ったウグイでげんなりします。先ほどの”みんな空の下”に入れてあげなかったからでしょうか。

水温も下がってきたんだけどまだまだウグイの生息圏は縮まらないようです。でも絶対に岩魚もいるはずだと信じそれこそ”ドリカム理論”で重たくなってきたテンカラロッドを振り続けました。

いやマズイぞ、このままだとなんともふがいない釣果のまま帰宅することになる、そう思ったのでとりあえず小さくてもいいから岩魚を釣っておこうと近くの支流に入りすぐのカーブでサクッとその狙い通りの”小さな岩魚”を手にし、一息付きました。

さてまだ時間は30分ほどある。支流を下れば本流の雄大な流れが待っているが短いロッドに持ち替えたし一度車まで戻るべきか、そう考えながらも焦る気持ちを押さえられずに短い仕掛けのまま本流に膝までつかりロッドを振り始めます。

大きな岩魚は流れの中にはおらず対岸の障害物に隠れていてエサが流れてきた時だけひょいと姿を現すもの。対岸の倒木を視界にとらえ、静かにゆっくりと短い仕掛けの射程圏内まで近づく。そしてその倒木と水面が接するところをなぞるように毛ばりを流すと水面がモゾモゾと揺れます。

1投目はフッキングせず。

2投目はテンカラでしか落とすことができない枝の間に上からポトリを毛ばりを落とすことに成功。恐れずに結構攻めました。

有効な時間は1秒強くらいだろうか、あっという間に枝に引っ掛かるギリギリまで毛ばりは流れていくがその瞬間、黄色味を帯びた魚体が水面を跳ね毛ばりを口にしたと確信した私は倒木から早く出すべくロッドを下流方向へ倒す。

無事に流れの中まで引き出し、あとは手前の岸まで誘導しランディングするのみ。ご存じのように岩魚は虹鱒ほど走らずそれが私の油断を誘ったのでしょう。その顔が見えて安心した直後、ふっとロッドが軽くなる...あぁ...あぁ...なんてこった...

今シーズン一番こたえるバラシでした。油断から十分泳がせることをせずに一直線に手元まで寄せてさっさとランディングしちまおうとした私が全て悪いのです。

さて、あれだけ場を荒らしたのだからもう同じ場所から出すのは難しいだろう。時限まで周囲の障害物を探ってみますが反応はない。さすがにその影響は周辺全体に及んでいるのでしょう。魚が出てくる気配はありません。

最後にもう一度だけ先ほどの倒木をダメもとで探ってみます。今度はすこし上流に毛ばりを落とし、倒木の裏側を流れるようにテンションをコントロールします。

ちょうど倒木の真裏を流れているとき、ぴたりとラインの動きが止まります。一瞬引っ掛けたか!?と思いましたがラインが張ったままそれが動き出し下流に向かっていきます。イヨッシャーーーと小声でかみしめるようにつぶやき今度は大きな虹鱒と対峙するときのように十分に泳がせ体力を削り、じっくり待ってから岸へ寄せました。

先ほどよりも大きいであろう魚体をネットに納めて計測。37センチと全長はそれほどでしたが丸々と太っていて背中のグリーンも鮮やかな一匹でした。

今シーズン一番と言ってもいい面白い出方をしたしやり取りも完璧に近かったので、最高の気分で崖をよじ登り車に戻りました。

かつてないほど劇的な展開にどっと疲れが出たので、再び大好きなセイコーマートに立ち寄り缶コーヒーをすすりつつ一口ジャムパンを口に放り込みながら悠々とハンドルを握った次第です。

釣行データ

天気と気温

  • 晴れ
  • 現地最高気温23℃

タックル

釣った魚

  • 岩魚2匹(最大37cm)
  • 虹鱒5匹(最大29cm)
  • 山女魚1匹(最大20cm)

確認した野鳥

  • アオサギ
  • ダイサギ
  • トビ
  • カワガラス
  • ハクセキレイ
  • キセキレイ
  • キジバト
  • ハシブトガラス
  • ハシボソガラス
  • アオジ(鳴)
  • オジロワシ
  • ノスリ
  • アカゲラ(鳴)
  • コゲラ(鳴)

上の画像はノスリです。由仁の田園地帯を走行中に電柱のさきっぽに佇んでいるの発見し、通過したのち車を止めて撮影しました。

ばっちり目が合ってます。その大きなくっきり目元は猛禽のくせに優しくて隠れファンが多い鳥です。やはり秋冬に見かけることが多い印象ですが基本的に留鳥で渡りはしません。おそらく畑の周囲でネズミでも探していたのでしょう。

そのほか河原ではカワガラスが私の邪魔をし、キセキレイなどまだ夏鳥を見かけました。近所の草原ではノビタキやモズ、そして上空を旋回するオジロワシも。

今回の釣行、もし2度目の岩魚をバラしていたら相当ダメージが大きく立ち直るのに時間がかかりそうでしたが幸運もあったのでしょう、手元まで寄せることができました。岩魚はやっぱり面白いですね。まだ今シーズンは40upを手にしていないので何とかものにしたい。

さて次回はどこに行こうかこれを書きながら思案をしています。

一番いい時期なのでついつい実績がある川に足が向いてしまいがちな自分を制し、あえて新規開拓に赴けるとカッコ良いのだが、どうでしょうか。次回の釣行までひたすらグーグルマップを見つめて過ごすことになりそうです。いや、その時間がむしろ一番楽しかったりします。

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