テンカラは普通、ちょっと沈む毛ばりを使います。なので水面に浮かぶ、フライで言うところのドライフライは使いません。
それでもやはり、水面で釣る面白さをテンカラでも経験したいもの。そしてハイシーズンは水面の方が数も釣れるし大きいサイズも期待できます。
この記事では、初心者のかたにも簡単に巻けて非常によく釣れるドライテンカラ毛ばりの巻き方をご紹介します。
ドライテンカラ毛ばりの概要
えーとですね、この毛ばりは非常によく釣れるので門外不出にしようかと思っていましたが、やはり初心者の方にも気軽に釣れる経験をしていただきたい、その想いが強くて作り方を解説することにしました。
といっても、たいしたものではないのですが。
巻き方も簡単ですし、身近な素材で作ることができます。小学校高学年くらいから十分可能だと思うので、少年テンカラ師にもぜひ作ってもらいたいと思います。
でも、これは完全な「個人的な見解」になりますが、釣りは自分で創意工夫をするから面白いと思っています。私自身も釣り雑誌などは見ないですし、毛ばりを作るときも基本的に何も参照せずに自分でアレコレ試しながら作ることにしています。完全なる我流です。
この毛ばりも試行錯誤の結果として誕生したものです。
少しずつ変更を加えながら昨年一応完成形かなというところまでたどり着いた感があるので、改めてここでご紹介する次第です。飛距離、操作性、耐久性、それぞれに満足のいくドライテンカラの毛ばりができました。
以下はネタバレになるので、自分で試行錯誤をすることを楽しみたい!という人はブラウザバックをおすすめします。
道具と素材
毛ばりのかたち

フックの上にフォームを固定し、その上に毛を取り付けたシンプルなものです。一本のスレッドで最後まで巻いていきます。
簡単なんですが、バランスをとりつつ結構強い力で引っ張る必要があるので、慣れるまでには幾度か練習が必要でしょう。でも、素材は身近なものばかりなので、作っては分解しを繰り返して、きれいに作れるまで練習してください。
使用道具

- バイス
- ハサミ
- 接着剤(ゼリー状)
- ボビンホルダー(スレッドに装着)
基本的な毛ばり作りの道具だけで十分です。ボビンホルダーはスレッドに装着しておきます。(下の画像)
接着剤はゼリー状の方が扱いやすいですが、なんでもOKです。
必要な素材

- フック
- スレッド(黒か茶系)
- EVAフォーム
- 毛(豚、馬など)
EVAフォームは6mm角位、長さはフックの1.5倍程度にカットします。はさみで面を取っておきましょう(角をおとして丸くする)。

EVAフォームは100均のこちらの商品だと使いやすいでしょう。
毛ですが、掃除用のブラシなどから取ってください。買う必要はありません。
髪の毛よりも太く重たいものにするのがコツです。化繊だと折れて切れるので、なるべく自然の毛が良いでしょう。
願を掛けて妻の陰毛を毛ばりに使う猛者もいますが、さてどうでしょうかね。
制作方法
ここから制作の手順を説明していきます。
まずは普段通り、フックをバイスにしっかりと取り付けてください。けっこう力を入れるのでいつも以上にしっかりと固定してください。
スレッドを巻く
まずはいつもの毛ばりを巻くときと同様に、フックにスレッドを巻き付けていきます。
隙間ができないように指で詰めながら巻いていきましょう。1~2往復します。これは滑り止めのために巻いています。
フォームを接着する
巻いたスレッドの上に接着剤をたらします。
その上にEVAフォームを乗せて接着します。しばらく指で押さえて動かないようにしましょう。これをしておかないとEVAフォームが回転してしまうので忘れずに。
フォームを縛り付ける
スレッドでEVAフォームを縛り付けていきます。
EVAフォームをぎゅっとフックに縛り付けていきます。指先に力を入れてしっかり食い込ませるイメージです。フックの長さによって、2か所か3か所にくぼみを作ります。
この凹凸が昆虫のくびれのように見えて効果的なのです。たぶんですが。
毛を結びつける
用意しておいた毛を束にしてEVAフォームの上に縛り付けていきます。
基本的に先ほどのフォームを結び付けていく作業と同じです。2回くらいずつ巻き付けて次に進みましょう。スレッドが裏(下)に来た時に前に移動させると見た目きれいに仕上がります。
ここでもしっかり締め付けることによって、丈夫な毛ばりになります。
スレッドを縛って完成
フォームと毛がしっかりとフックに固定されたら、スレッドを縛って結び目に接着剤をたらし、余ったスレッドをカットします。
これで完成です。フォームが回転しないか、毛が抜けてこないか確認しましょう。しっかり作ることができていたら、かなり長持ちするでしょう。
この毛ばりの流し方

この毛鉤の特徴をまとめておきます。
- よく飛ぶ
- 沈んでも浮いてくる
- 見えない
- 水面でも水中でもよく釣れる
これらを知ったうえで毛ばりを流してほしいのです。そうでないと、あまり釣れません。
この毛鉤を使う上で大事なことはこの2点です。
- 見ようとしないこと
- ハリスをたるませておくこと
見ようとすると毛ばりをコントロールしようとするので、それがナチュラルドリフトを妨げます。だから毛ばりを入れたいポイントのすこし上流に落とし、あとはラインをたるませて操作をせずに流しましょう。
あくまでも毛ばりの自由にさせてあげるわけです。
まとめ:なんならこれ一つでもOK

この毛鉤は水面に浮くタイプのものなので、虫の動きが活発な時期にのみ有効と思われるかもしれません。
ですが実際のところ、シーズンを通してこの毛ばりは有効です。2023年シーズンはほとんどこの毛ばりしか使いませんでした。
もちろん、雪が舞うほど寒い時期や、数メートルの水深のある場所では有効ではありません。そもそも毛ばりを使うテンカラはそういったシチュエーションでは不向きなので。
初心者の方はまずはこの一つで充分だと思います。
最初は毛ばりが見えなくて困惑するかもしれません。その場合は蛍光色の視認性の高いレベルラインに30cmほどの短いハリスを結んでください。そうすることで、毛ばりのだいたいの位置は把握できます。
水面を割ってガバっと出てくる魚の姿にあなたは魅了されるでしょう。