釣った魚へのダメージを最小限にするリリースの方法について

キャッチアンドリリースをするからには、釣った魚へのダメージは最小限にしたいものです。あくまで私の経験からくる主観で、データに基づいたものではありませんが、魚にダメージを与えずに川に戻す方法について考えてみました。

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上手にキャッチアンドリリースをする方法

悪い例ニジマスの画像

どうすれば釣った魚を元気に川に返すことができるのか。いろいろ要素はあると思いますが私はこれらが大事なんじゃないかと考えていて、実践しています。

  • 写真動画の撮影は短めに
  • バーブレスフック・シングルフックの使用
  • ランディングネットの使用
  • フィッシンググローブの使用

では一つずつ見ていきましょう。

写真・動画撮影は短めにする

自分への反省という観点からも、写真・動画の撮影が最も魚を弱らせる行為だと思っています。この画像は私が撮影したものですが、完全に水からあげてしまっています。魚へのダメージは大きかったでしょう。

よくネット上や雑誌で見るきれいな渓流魚の写真や動画は、つられて暴れまわる魚を写真映えするポジションに何とか落ち着かせてから撮影するものです。でもそう簡単にうまく撮影できないので、何度もやり直すことになってしまいます。撮影の経験がある人ならわかるはずです。

よく言われる、魚をなるべく水から出さない、河原の石や砂の上にあげない、素手の熱い手で触らない、といった魚へのダメージを減らす方法がありますが、これらをしてしまった場合でも、釣ってすぐに針を外し川に戻すと驚くほど元気に、魚雷のように元いた深みめがけて一直線に泳いで帰っていくものです。

なので私は、何をしたかよりも時間が重要なんじゃないかと思っています。人間に拘束されている時間が長ければ長いほど、魚は弱っていき、いざリリースしようと川に放っても、腹を見せて仰向けになり流されて行ってしまうのです。

ということで、一切の撮影行為をやめることが釣った魚のリリース後の生存率を上げるんじゃないかと私は結論付けました。繰り返しますが、これは誰かを攻撃するものではなく自分への戒めです。

もし撮影したい場合は、魚がその気になれば逃げられる状態、すなわち、フックが外れて水の中に入れてあるネットのなかを自力で泳いでいる状態ですべきでしょう。以下の画像のような感じだと、魚体はきれいに撮れませんが魚は元気でいられるでしょう。

良い例撮影したニジマス

当然シャッターチャンスは少なくなり、俗にいう「映える」写真や動画を撮影できる可能性は落ちてしまいます。

以下にリリースまでの時間を短くすること以外に魚へのダメージを減らす要素を書いていきます。

バーブレスフック、シングルフックの使用

針を外すまでの時間を短くする一番良い方法は、バーブレスフックの使用でしょう。

返しがない釣り針、要するにバーブレスフックは外れやすく、是が非でも魚を手元まで寄せたい人は使用をためらうかもしれません。

ですが、しっかりフッキングしている場合は、バーブレスフックと言えどもそう簡単には外れません。

私も何度も、数分に及ぶ大型魚との戦いをバーブレスフックで対処してきました。返しの有無よりも、フックの先の鋭利さ、フックの素材、ハリスとラインの緊結強度などの要素の方が、バレルバレないに影響すると私は思っています。

万が一、ラインが切れて魚の口にフックをのこしてしまった際にも、バーブレスの方が自然に外れる可能性が高くなるでしょう。あくまでも、個人的かつ希望的観測ではありますが。

ランディングネットの使用

ランディングネットを利用すると、無駄に魚を暴れさせることがなくなります。ネット無しのランディングでは、手を使ったり陸に揚げたりするわけですが、その間にも魚は身をよじらせて全力で暴れるので、魚は自ら体をあちこちにぶつけて弱っていってしまいます。

でも、使えばそれでいいのかというと、そういうわけでもないと思っています。クレモナ糸で編まれたネットは見た目も良いのでほしくなりますが、結び目のこぶが結構大きくてこれが魚体にとってはマイナスになるでしょう。

ネットはラバーかメッシュタイプが良いですが、見た目にあまりカッコ良くないので、渓流で実際に持っている人にであったことはほとんどありません。※私は現在、底がフラットになるメッシュタイプを使っていますが使用感は良好で、リリースも手際よく行えています。

フィッシンググローブを使う

素手は魚体へのダメージが多いようです。これは本で得た情報ですが人間の体温程度で魚は、特に渓流魚は大きくダメージを負ってしまうとのこと。

さかなに触れる際には、素手の場合は川の水で表面を冷やしてからにしましょう。グローブを使用した際もネットと同様に、表面が平滑な素材の方がダメージは少なくなるでしょう。軍手のような素材だったら、逆に魚体のヌルヌルを取ってしまうことになりそうです。

いずれにしても、ぎゅっとつかみすぎずに、優しくホールドしたいものです。

魚が弱ってしまったときの対処方法

弱ってしまった大型魚

不幸にも、魚が弱ってしまった場合の対処法についてお話します。

たまにみるんですが、手でバシャバシャしてエラに酸素を送り込む方法をとられる方がいます。でもあの方法で復活した魚を私はいまだかつて見たことがありません。

自分でも試してみたことがありますが、まったく意味がないばかりか、余計に魚にストレスを与えているようにも感じました。

私が経験上もっとも効果があると感じている方法は、魚がひっくりかえるのを防ぐために両サイドをささえてあげて(つかんだり握ったりせずに、あくまで両サイドに壁を作ってあげるイメージ)魚が自発的に泳ぎだすのを待つ、これだけです。流れに魚がもっていかれそうなときは尾のくびれを軽くつかんであげます。

場合によっては数分かかることもありますが、辛抱強く待ちましょう。適当にリリースをして後で心配になるよりは、自分から流れの中にもどっていく様子を見たほうが、精神的にも尾を引きません。

一度リリースをして、力なく流されていったり、おなかを見せてひっくり返るようなことがあれば、この方法を試してみてください。特に大きな魚は一度消耗すると回復するまでにそれ相応の時間がかかります。

まとめ:やるからにはベストをつくしたい

初春の渓流の様子

キャッチアンドリリースは、一見道徳的な行為に思えますが、実際は無駄に魚を傷つけ捕まえてまた放すという、なかなかに残酷な行為で、キープして自宅でさばいておいしく食べたほうがマシだという意見があるのもうなずけます。

ルールが定められていない川では、完全に個人の判断に依るところなので、最終的には自分が気持ちよいか気持ち悪いかが判断基準になります。

私は、キープをせずにキャッチアンドリリースを普段からするので、その方法に関しては万全を期したいと考えるようになりました。私の過去の動画の中でも、あまりよろしくない場面があったので反省と自戒の意味も込めてこの記事を書いた次第です。

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