【川釣りポイントの新規開拓】ルアー・フライ・テンカラに必要な地図記号の読み方

新しい川とポイントの開拓は私の趣味であり、ガイドをしマップも販売しているのでもはや仕事になりつつあります。

最終的には「行ってみないとわからない」のですが、グーグルマップと地理院地図である程度目星をつけてから現地に赴くとはかどるのです。

ということで今回は、釣り場探しに使える地図記号について説明をしていきます。※地図と記号の画像は「地理院地図」より引用させていただき、一部加工をしています。

コンテンツ

傾斜をあらわす等高線

等高線は天気図の等圧線と同じようなもので、10mごとに表示される線です。この線の間隔が狭いと急斜面、間隔が広いと緩斜面と言えます。

太いものが一定間隔で現れますが、あれは50mに一つのもので特段意味はありません。計曲線と呼ばれます。

入渓を予定している地点が、林道から河原までどれくらい傾斜があるのかを予想することができます。慣れてくると、地図上の距離と等高線の間隔でどの程度の斜面かわかるようになってきます。

河岸の様子を知る記号

ガケ(岩・土)

崖(がけ)には2種類の地図記号があります。土崖(つちがけ)と岩崖(がんがい、いわがけ)です。

岩崖が連続しているところは表面が岩の急斜面で、釣りがメインの装備では登ったり下りたりはできないと考えください。

一方、土崖の場合は、何とかなることがあります。特に橋周辺が急斜面でも土崖の場合は、木の根やササにつかまりながらなんとか降りられた、なんてことも。そのような場所には釣り人がつけたロープがある場合もあります。

また、川の両岸ともに岩崖表示があるときは俗に言う「ゴルジュ状」になっていて、泳がないと遡上できない可能性があります。沢登をする方は好んで訪れるエリアですが、これも実際に行ってみないとわからなくて、意外にも通過できてしまったりもします。

この記号があるところには岩盤が地表に出てごつごつしています。

大小の区別があります。周囲が開けていれば通過はできるはずです。イワナをはじめ渓流魚の好ポイントになっている場合もあるでしょう。

そばを流れる川も岩盤の渓流である可能性が高いですね。

防波堤等

川では、コンクリート護岸がされている箇所はこのように表示されますが、護岸されているにもかかわらず、この表示がないところもたくさんあるので要注意です。

この記号があるところは比較的しっかりとした護岸がされていて、降りるのは不可能だとおもってください。川だとダムの放流口に多い印象です。

流れは直線的で深く危険なので釣りの好ポイントとは言えません。積極的に近づくべき場所ではないでしょう。

川を分断するもの

せき

この表示があるところは「河川を横断して設けられた工作物」を表します。取水堰、砂防ダム、治山堰堤など川が分断されるような人工物がなにかしら設置されているはずです。

ネット閲覧の地理院地図の場合、縮尺によって表示されたりされなかったりするので、入渓予定の川は縮尺を変えて数回見てみるとよいでしょう。

長さが25メートル未満のものはせき(小)、25メートル以上のものはせき(大)として長さを変えて表示されるので、高巻きが可能かどうかの判断材料にもなってくれますね。

釣り場として考えるならば、この記号が高密度で連続している区間は入る価値がないと言えます。でも、たくさんあっても間隔が開いている場合はその区間を釣り歩いてみるのも手です。ほかの人が見落としていて、意外にパラダイスなんてことも。

いずれにしても入渓退渓の良き目印になりますし、堰堤下は大物がついている場合もあるので、優先して確認するべき記号でしょう。

こちらはせきとは違い自然にできた滝で高さが5m以上のものをあらわします。沢歩きを本格的にしている人は余裕で超えていくのでしょうが、普通の釣り人にとっては打ち止めとなるポイントです。

人工の堰堤は作ったときの道などが残されていたりして、通過ができることが多いのですが、山奥にある自然の滝は沢登の装備がないと、基本遡上不可能です。

地下の水路

道路の下を川が流れている個所によく見かける記号です。

こちらは場所によってその作りが大きく変わります。人間が簡単に入れる大きさの鉄板やプラスチックのパイプ状のものや、コンクリート製の土管状のもの、きちんとした四角いトンネルになっているものなど様々です。

水路の出口がちょっとした落差になっていてめちゃくちゃ好ポイントになっているケースも多々あるので、油断できません。

余談ですが、私はどんなに短くてもなぜか恐怖を感じるので中を歩きません。

川周辺の様子を表す記号

軽車道(林道)、徒歩道と庭園路

林道(軽車道)は実線、登山道などの徒歩道は破線、公園整備などに使われる道は幅広の破線であらわされています。

ほとんどの場合、林道は入り口すぐのゲートが閉じていて車両で奥まで進むことはできません。一部例外はありますが。

そして、整備の具合もピンキリなので行ってみなければわからない部分もありますが、川と交差しているところは降りられる可能性が高いので、それを目安に見てみるとよいでしょう。

徒歩道は荒れているところが多く道に迷う可能性が高いので、私はあまり参考にしません。ただし、登山道として現役で使われているものは大丈夫です。

荒地

森でも林でもないエリアに使われる記号で、実際は草原、ガレ場、湿地だったりします。

ほとんどの場合通過は容易にできますが、真夏だと背丈よりも高いイタドリが密生していたりもします。木が密生していないという意味で、他はなんでもありというニュアンスなんでしょう。

広葉樹林

北海道の場合ナラ、クリ、カバ、ハンノキ、カエデなど広葉樹がメインの樹林帯を表しています。記号だけで天然林かどうかの判断はできませんが、川の周囲が広葉樹林の場合、山の保水力が高く、急激な増減水が少ない川と言えます。

加えて河畔に苔むした岩がたくさんある場合、かなり自然に近い河川環境が維持されていると言えますね。

針葉樹林

北海道の針葉樹で代表的なものは、トドマツ、エゾマツの2種で、天然のものと植林のものがあります。記号だけでは判別できませんが、グーグルマップの航空写真で見ると真四角だったり一直線だったりするので一目瞭然です。

北海道の森は針葉樹、広葉樹が混ざっている針広混交林が多いので、植林地以外はハッキリ区別することはできないでしょう。

一般論ですが、針葉樹林は水持ちが悪く谷の川は濁りやすいです。でも本州の人口杉林みたいなものは無いので、そこまで河畔の植生を意識しなくてもよいでしょう。私は周囲の植生までは考えません。

完全に針葉樹に囲まれた川というのは存在しないので、すべての川で晩秋には落ち葉に泣かされることになります。

雨列

恥ずかしながら、この記事を編集していて初めて知りました。

大雨の時などに土砂が流れて谷上になる地形を表しています。あえて釣りと結びつけるなら、周囲にこの雨列が多いエリアは雨で川が濁りやすく、土砂災害に巻き込まれる可能性が高く危険と言えそうです。雨予報の時は近づかないようにしたほうがよさそうです。

まとめ:地図からわかることは多い

最終的には「行ってみないとわからない」のですが、それでも地図からわかること、地図でしかわからないことはたくさんあります。

事前にちらっと見て頭に入れておくだけで、いざというときの選択肢は増えるもので、そういった微々たる違いが当日の釣果に直結したりもするのです。

北海道の釣りでは、そこまで山奥に入らなくても十分釣果を得ることができますが、思っている以上に魚はスレていて、橋の付近などの目立つポイントには魚はついていません。

ですが、入渓地点となる林道や橋から川に降りて、30分も歩けば好ポイントが連続するエリアにたどり着ける場合がほとんどです。その際に、入る価値があるのかないのかを事前に判断することを可能にするのが、地図(地理院地図)と航空写真の利用だと思います。

効率よく最大限の釣果を得るために、前日に30分ほど時間を使って、川と周囲の地形を確認しておくことをお勧めします。

感覚的に、私が新規開拓をする際の成功率(良い釣り場に出会う確率)は5割程度です。失敗も多く、魚が釣れないばかりか、そもそも釣りにならない川ばかりを丸一日移動したことも多々あります。

選球眼や直感は、普段から地図を見ることと現場に足を運ぶことで養われるはずです。失敗してもめげずに継続すると少しずつですが成長を感じられるでしょう。

ですが、時間は限られています。釣り場探しに時間をかけていられないという人のためにマップの販売をしているわけです。

新規開拓は時間もお金も体力も消費しますが、「宝の地図」のような楽しさがあります。

コンテンツ