いつもの夕張エリアから少し足を伸ばして、鵡川穂別周辺を探りに行きました。そろそろヤマメの絵が欲しくなったので、ヤマメの魚影が濃い川まで出張った次第です。
Pennywise のアルバム “unkownroad”を聞きながら昨日の釣行を回想しつつキーボードをたたいてます。学生時分にブックオフの中古CDコーナーでジャケ買いしたことをフト思い出したのです。
鵡川本支流
鵡川本流の状況も気になりますがまずはいつもの支流を探ることにします。橋から降りてすぐから好ポイントが連続するヤマメが支配的な好河川なのですが、さすがにこう暑くなってくると水も生暖かくとてもじゃないがプールにはまず確実にウグイがついていそうな雰囲気ではあります。
しばらく釣りあがり次の橋までたどり着いたところで、なんだがやたらと大きな魚の白化した亡骸が浮いているのが視界に入ります。やけにデカい。いや、この川にこんな大きいのいただろうか。よく見てみると思い切りホッケさんです。
周囲にはビニール袋からあふれ出るホッケとカレイの亡骸。どおりでなんだか腐った磯の臭いが鼻についたわけです。不法投棄界隈にマナーを求めることはできないでしょうが、ほんとびっくりするし生態系にもちょっとは影響あるだろうからやめてほしいものです。
本人は「いいべやー、なんもだー、自然に返すべやー」と昭和の道民よろしく軽い気持ちで捨てているのでしょうが、そこに住まう魚とそこを歩く我々の気持ちも考えてほしいものです。
不法投棄を含むゴミ問題はここ20年くらいで厳罰化が進み発覚した場合はなかなかに重い刑罰がくだされるはずですが、それでもすべてを取り締まるのは到底不可能で橋の下側からよく見上げる立場としては、改善の兆しは一向に見られません。
変化としては、ヘビー不法投棄(テレビ、PC、ソファ等)よりも、カジュアル不法投棄(ション便ボトル含む車内のごみをすべて入れたプラ袋を橋から放り投げる)が増えているような気がします。
一気に釣る気が失せたので入渓地点までヒタヒタと戻り本流との合流地点を目指す途中でウグイに交じり1匹だけ小さいけどヤマメを手にすることができました。そして案の定録画に失敗しました。
録画されていなくてもモニターにはその姿が映っているので、しっかり撮られている気分になり散々舐めまわすように久しぶりの美しいヤマメの魚体周辺をスマホをヒラヒラさせたのち、いい感じのリリースシーンまでモニターの中に納めたところで、録画マークが表示されていないことに気がつきました。
湧き上がる絶望から上空を見上げると、イワツバメが大量に舞っています。前回シューパロ湖周辺の橋でイワツバメを多く見られるということを書きましたが、ここ鵡川にかかる大きな橋付近でも毎年たくさんのイワツバメを観察することが可能です。それの観察目当てに訪れる人もいるくらいです。
失意のまま本流に降り、ラインを本流用の長いものに切り替えて大きい魚を狙ってみます。
毎年夏場は鵡川本流(エリアによるが)は水量が減って釣りに適した状態となります。緩やかな背が連続するエリアでコツコツ毛ばりを落としていくと、案の定小さなウグイが毛ばりをからかいに姿を現しますが、一度大きな魚体がギラッと水中で光りやる気に火がつきロッドを握る手にも力が入りますが、反応はそれっきりで来た道を引き返すことにしました。
なんもだという言葉
先ほど登場した「なんもだー」について、すこし河原から話を逸脱させます。
北海道弁の代表格と言えば「なまら」でしょうか。本州資本が北海道ローカル向けにCMなぞつくるときは過剰に「なまら」を言葉の端々にまで詰め込んで非常にうざいと感じ時には殺意すら覚えるほど。やはり地元民としては馬鹿にされていると感じてしまうものです。
翻って私は北海道弁というか北海道を象徴つけるフレーズは「なんもだ」だと確信しています。これに勝るものはないでしょう。
意味は大きく二つに分かれます。ここでは紛らわしくないように第三言語からあえて説明を試みます。
- You’re welcome.
これは使用シーンとしては「いやー助かったわーありがとねー」「なんもだー」といった感じで、どういたしまして、気にしなくてもいいよといった上記英語とほぼ同様の意味となります。
2. It doesn’t matter.
大したことではない、問題とすることではない、というニュアンスで使用されるものですが、これが北海道独特のひねくれた哀愁というか、”いじけ根性”も加味されてとても複雑な情感をも含むので、とくにおじさんが吐き捨てるように発する「なんもだー」には注意してください。彼にはそれなりの心的ケア、もしくは焼酎甲類の一本なぞ必要かもしれません。
同じ「なんもだー」でも若い道産子女子が口にする「なんもだよ♡」はそれはそれで堪らないこみ上げるものがあります。上京して間もない道産子女子大生と付きあった経験をお持ちの男性諸氏は手を連打し同意していただけるはずです。
おじさんが発するウラブレタ「なんもだー」の好例を見たい内地の方は映画「ホテルローヤル」を鑑賞してください。北海道(釧路)が舞台のこの映画、出演している俳優さんはそれぞれ北海道のイントネーションを果敢に再現しようとしますが、やはり地元民からすると違和感がぬぐえません。
そんな中さすがというか室蘭出身安田顕さん演じる主人公のお父さんの「なんもだー」はその一言であきらめと投げやり、そしてかすかで不器用な愛情を言葉にすることに成功している感があるのです。
なお、この映画の出来そのものについてはここでは言及をしません。小説が原作の映画によくある話ですが、原作との乖離と解釈の違いにがっかりさせられることだけは間違いなしです。
鑑賞すべきは波留さんの”透明感”と上記の安田氏の「なんもだー」です。
夕張川本流
話を当日の釣りに戻します。
これ以上先に進むと帰宅するのが面倒になりそうだったので、夕張方面にもどって釣りを続けることにします。主だった支流3本をのぞいてみますが状況はどうもよくない様子。なので前回虹鱒を釣った中流エリアに入ってみますが、やはり水温が影響しているのか小さなウグイの姿しか確認できず、途中セコマ休憩をはさんで上流エリアへ移動します。
セコマで2割引のシールが貼られた草大福を購入し、汚く伸びたヒゲにカタクリ粉を付けつつハンドルを握り、時間も無くなってきたので急いで上流エリアへ向かいます。今からでも実質1時間半くらいは釣りができる。
ここも水温が高くウェット装備から伝わってくるその水は、明らかにウグイが好みそうなそれとなっていて、予測そのままにウグイが顔を出します。でも対岸のいい感じの倒木をなぞるように毛ばりを流すと、大型のイワナが水面に顔を出します。毛ばりを変えつつ2度フッキングしますが、それぞれ一瞬でバレてしまいます。
時刻は16時を少しまわったところ。
ぎりぎりまでそのポイントで粘っていたのですが、なんか対岸の崖から小石がカラカラと落ちてくる。そして藪がガサガサもする。一度大きな声を出すと一瞬動きが止まります。おそらくエゾ鹿だろうと高を括ります。
それでも何かいる気配が続くので顔をあげてみると、コの字を左に転がした形の大きな黒い塊が...おもいきり羆です。人生3度目の遭遇はもっとも近距離で、おそらくその距離わずか20mほど。
3度目の正直、そんな言葉が頭をかすめます。1度目は子連れの羆が私の存在に気がついたと同時に猛スピードで森の中へ消えていった。2度目はその場から動かずにじっとこちらを睨み続けていた。
そして3度目の今回、さすがにびっくりしてあと退りよろけた私が発した音で相手もこちらの存在に気がついた、瞬間虚空を見つめ逡巡したのち下流方向へものすごいスピードで藪をかき分け走って逃げていきました。
もしこれが、車のある上流方向であったのであれば状況は逼迫していたことでしょうが、その点に関しては不幸中の幸い。さらにほかの釣りびとや歩行者も彼が走ったその方向にはいなかったので、ほっとした次第です。
それにしても、5~10分に一度は車やトラック、旅行中の大型バイクなんぞが行き交う道路と、それに並走する川の間の灌木林(幅はわずか数メートル)に羆が潜んでいるとは。
出没するとしたら背後の深い森からだろうといつも警戒はしていたのですが。明らかにその羆は道路を渡ってそこまでやってきたはずなので、ほかのドライバーも目撃していることでしょう。
油断せずに少しの距離の移動でも、手をたたいたり大きな声を出すなりしてこちらの存在を早めに相手へ知らせることを怠らないように、あなたも気を付けてください。気の小さい私はひとたび羆に出会うとしばらく日和ってしまうので、当分釣りは自粛し禊の寸暇をはさむことにします。
釣行データ
天気と気温
- 晴れ時々曇り
- 現地最高気温32℃
タックル
- ロッド:DAIWA NEOテンカラ36 / DAIWA 清流X45
- ライン:レベルライン3.5号
- ハリス:ナイロン1.5号
- 毛ばり:#12ドライテンカラ毛ばり
釣った魚(尺以下は約寸)
- 山女魚1匹(約20cm)
- ウグイ数匹(20~35cm)
確認した野鳥
- クロツグミ(鳴)
- ウグイス(鳴)
- アオジ(鳴)
- カワガラス
- キセキレイ
- ハクセキレイ
- トビ
- ハシボソガラス
- キジバト
- ヒバリ
- ヒヨドリ
- オジロワシ
- イワツバメ
- ビンズイ
釣果が上がらないと鳥を見る余裕をなくしてしまうので、終日しょっぱい釣果に苦しめられたこの日は鳥見にも力が入らず、観察種数は伸びずじまいでした。
そんななか、国内ではそう頻繁には起こらない”人生初”に巡り合うことができました。残念ながらピントが合っていないのですが、おそらくビンズイです。当初ツグミやヒヨドリの仲間かなと思って調べているうちにビンズイだと発覚しました。セキレイ科のようです。
車のそばで装備を整えている最中に近くの低木の中に何かわからないけど鳥がいたので適当に写真を撮って自宅に帰ってからじっくり調べました。
野鳥観察には双眼鏡が必須と言われていますが、記憶もあいまいになるしスケッチをするにしても技術と慣れが必要なので、やはり画像というものは記録にとどまらず観察の手段としてもとても有用だと思います。
最近は一眼ではない通常のデジカメでもめちゃくちゃ高倍率のものもあるので、それを片手に野鳥観察を始めてみるのも面白いと思います。値は張りますがニコンのP900あたりが最高でしょう。えげつない”寄り”を体感できます。
P1000だとさらにえげつない”密接”を体験できますが、あれだとちょっと大きすぎるし高すぎる。
通常のコンデジの弱点はやはりファインダーの不在でしょう。モニターを見ながらの撮影はスピード感で一眼に劣ります。その点、電子式ではあるけれどファインダーがあるP900とP1000は野鳥の撮影には適しているでしょう。いや別に、カメラに詳しいわけではないので参考程度に。