空気はすっかり秋です。雪虫も飛び始めました。日中は晴れてもちょうどよい気温で快適ですが、水温は上がりにくく夏場に比べて釣りは難しくなってきます。
そして、この時期特有の悪条件、「落ち葉」が釣りを邪魔します。そんなときどのように対応すればよいのか、いろいろ考えながら丸一日、同じ川を釣り歩いてきました。
どこに行っても車
久しぶりに日曜日の釣りです。普段は平日に行くことにしているのですが、たまには土日の人気河川の様子を見ておこうと思った次第です。
予想通り、主だったポイントにはもれなく車が止まっています。その一台のそばで釣り支度をしている人と話しましたが、本流の上流域にもたくさん人が入っていたとのこと。もちろん1秒でも先に来た人が優先ということで、あいさつを済ませて私はさらに車がとまっていない場所を求めて移動をします。
といっても、入渓地点が複数ある市街地の川なので、近くの先行者の有無が全く分かりません。この感じだとどこから入っても誰かの後塵を拝すことに違いはなさそうです。とりあえず周囲に人影が見えない場所に車を停めて、準備を済ませて川に降りました。
案の定、30分後に川の中に立つルアーマンと遭遇してしまいます。仕方がない、何とかするしかない。
落ち葉が厳しくなってきた
まだ周囲の山は紅葉のはじめといった感じですが、川には落ち葉が流れ込んできています。
強風が吹こうものなら、がさがさと音を立てて頭上のコナラやカエデから大量の葉が川に落ち、水面も水中も色とりどりの落ち葉で満たされてしまいます。見ている分には美しい光景なのだが、釣竿を握っているときは心にそんなことを楽しむ余裕を持ち合わせていないのです。
落ち葉で川が満たされると、方法が違っても釣りが難しくなるのは同じでしょう。ルアーを引いても落ち葉に当たるし、毛ばりを飛ばしても、狙ってもいないのに落ち葉の上になぜか乗っかり、くるまれてしまいます。
こういうとき、餌釣りだとどうなんだろうか。やはり難しいのだろうか...
毛ばりの選択が難しい
そんな状況で、どんな毛ばりを使えばいいのか。
毎年いろいろ試してみるのですが、毛ばりの種類というよりは単純に川の緊張感がなくなってしまい(川に流れるものの総量が多くなる、という単純な話)毛ばりにアプローチしてくる魚も減る印象です。
定期的に毛ばりを交換しつつ丸一日釣りをしましたが、いずれかの時に特段よく釣れる、ということもなく、すべての毛ばりに魚はアタックしてきました。もちろんその頻度は低く、丸一日でアタリはわずか6回、ランディングしたのはイワナが1匹、ニジマスが2匹でした。
当たり前の話かもしれませんが、落ち葉が気にならないところに毛ばりを落としたほうがよさそうです。普段テンカラで毛ばりを落とすポイントは、どちらかというと落ち葉やゴミが良くたまる水面です。
落ち葉が集まらない場所と言えば、やはり流れの中でしょう。周囲が落ち葉で緊張感が削がれている中、流れの中ではその緊張感が保たれていて、魚は流れてくる餌を待っているんだと思います。
使う毛ばりは水面直下タイプが最もよさそうです。上の画像に写りこんでいる、ソフトハックルとスレッドのテンカラ基本毛ばりです。それもなんとなくなんだけど白でいい思いをしたことが多いので今日も白を結んでいた、というわけです。根拠はゼロです。
紅葉が始まる直前が熱い
9月後半から落葉が始まる直前までは大きな魚の活性が高まっている状態が続いて、私の毛ばりにも大型の魚がたくさん食いついてきました。
夏場に比べてアタリの回数は減るけど、アベレージの大きさは初秋の方が良い印象です。9月が一番いい時期と言えます。
真夏は熱いし良い型の魚も出ずらいので、じっと我慢をして秋にたくさん出かけるとよいのでしょう。葉が落ちる季節が終わっても当然川底にたまって魚の出を邪魔するので、実質もっともアツいシーズンは9月の1か月かもしれません。
※画像は先日ほかの川で目撃したエゾシマリス。冬眠前に必死に餌集めをしていました。
まとめ:秋の釣りがちょっとだけわかった
入渓して30分くらいでそこそこの魚をばらしました。35くらいのニジマスだっただろうか。その後は昼すぎまでアタリすらなく、どんどん疲れがたまっていきます。
肩は痛いし足も棒になってくる。昔の嫌な思い出が次々と湧き出してくる。河原には絶望が転がっていて、それに触れないようにヨロヨロと歩くのが精一杯といった感じ。
14時ころ、膝くらいの深さの、流れが集まって早くなっているポイントで、毛ばりの流し終わりに重さを感じて自然に合わせる形になりました。魚影はそこそこの大きさなんだけどニジマスみたいに猛烈な走りもないので、ちょっと嫌な予感がしましたが、ちらっと見える黄金色の体側からイワナだと判明しました。
そこそこ通っているはずの川で、ほぼニジマス一色だと思っていたので、このイワナには正直おどろきました。たしかに渓相的にはイワナがいてもおかしくないんだけど、そんなに上流でもないしゴミも多い川なのでちょっと意外な感じなんです。
その後は日没直前、ラインが見えなくなるくらいまで粘ってみましたが、小さなニジマスが2匹釣れただけで終了となりました。今シーズン一番厳しい釣りだったと言ってもよいでしょう。
日曜は新規開拓をしたほうがよいかもしれません。名のある川、実績がある川は当然人でごった返し、魚も岩陰に身を潜めて姿を見せてくれません。
一方、今までにいったことがない場所に行くと、人が少ないのは当然だし、人がいたとしても情報を得られる可能性が高いのです。車が止まっているのを見かけるだけでも、そこに通っている人がいることの証になるし、近くに入渓できる道があることを示しています。
ということで、気がつくのが少し遅れたけど、土日に釣りに出かける際は今までに入ったことがない川周辺を散策してみることにします。
辛い一日でしたが半分無理やり収穫を得ようと頑張ってみました。前向きに考えないと、やってられません。