ここのところ空知東部、夕張方面で虫に囲まれひどい目に合っていたので、ちょっと気分を変えて新十津川町、徳富川周辺を探ってみることにしました。
このエリア、まだ訪れていない魅力的な渓流があるはずです。今回の釣行では今まで見落としていた支流をじっくり探り、新しい発見がありました。
徳富川支流の釣り
アクセス
新十津川へは当別の山間経由(28号線)で向かうと徳富川の上流に出ることができます。支流も多いのでポイントに困ることはありません。札幌からだと車で2時間弱です。
275号線から新十津川へ向かうと、有力支流である総富地川と砂金沢川へのアクセスが容易です。徳富川本流のエリアによって、もしくはどの支流に入るかで、いずれかのルートを選択しましょう。
学園6号川
徳富川にそそぐ支流の一つで、前から気になっていたのですが入るまでがちょっと面倒なので敬遠していました。
どこから入るか、自宅で地図を見つつしっかり作戦を立ててきました。川に入ったり河原をやぶ漕ぎしたりで歩くこと20分、やっと徳富川との合流点に到着。やばい、思っていたよりもずっと小さい。
それでも、徳富川と直でつながっているので、最低でもそこそこのニジマスは出るはず、と長すぎた4.5メートルのテンカラロッドで、主にフリッピングを使って探りました。
早速あたりがあり手元まで寄せてみると、あれですよ。なんていうか、まごうことなきウグイです。
せっかくここまで、アブややぶ蚊に囲まれて頑張ってやってきたのに、ウグイかよ。しかも、#10の大きな毛ばりを丸呑みしてるし、取るほうの気持ちも考えてちゃんと唇にフッキングするようにしてほしいんだけど。
あまりにも川幅も水量も小さすぎてほとんどポイントがないので、すたすた上流を目指していくと、腰の高さぐらいの落ち込みがありました。ここで渓流魚が出なければいさぎよく引き返そうと、手前の大岩をなぞるようにトップの毛ばりを流します。(画像)
理想的なラインを描き、予想通りの地点で水面が盛り上がります。よっしゃ、はい、出てきたのはやっぱりウグイです。お疲れさまでした。来た道を引き返しました。
ワッカウエンベツ川
国道451号に戻り上流に向かいます。夏休み期間ということもあり、吉野公園のキャンプサイトには多くのキャンパーが何することもなく、色とりどりのターフの下でただゆっくり過ごしていました。
デッキチェアに深く腰掛け、ただ一点を見つめて過ごす髭のイケメンと美女のカップル。よく飽きないなぁとじっとしていられないタチの私は、そんな光景をよそに次の川へ向けて車を走らせます。
その吉野公園の手前で右に入ると、徳富川の支流であるワッカウエンベツ川上流に入っていくことができます。橋から眺めると、ものすごく濁っているが、上流の支流は大丈夫だろうと先へ進みます。
奥へ続く林道は思いのほか整備されていて、ゲートもなくてすんなりと最奥部まで行くことができました。
まずは一番奥の渋谷沢川に入ることにします。林道は途中から草刈りがされておらず、やぶ漕ぎをして何とか川に降りました。少し濁っているけど、これがこの川のいつもの姿なんだと思います。最近雨も降っていないし。
さて、たぶんイワナの渓流だろうと予想をしていました。なぜなら、徳富川本流とは大きな砂防ダムで隔てられているからです。
人知れず山奥で、代々ひっそりと生きてきた、人慣れしていないピカピカのイワナが私を迎えてくれるのだろうと、朽ちたコンクリート護岸が作る青緑色の深みにそっと毛ばりを落とすと...
ウグイじゃん。何かがおかしい...
その後も一度かなり大きい魚種不明の影を目にした以外は、釣れてくるのは小さなウグイばかり。こんな山奥で代々何をしていたんだ、君たちは。しっかり喉の奥まで吸い込まれた毛ばりを取り除きながら、ウグイの顔に問いかけますがもちろん答えはありません。きゅっきゅ言うのみです。
いくつかに分かれている支流もすべて同じなんだろうと、諦めの気持ち半分でワッカウエンベツ本支流を少し釣り上がりましたが、やはりウグイしか出てこない。いろいろ不思議だなぁ。
もともとイワナが住んでいなかった。そして、ニジマスやヤマメの放流もされたことがなかった。それが答えなんでしょうかね。アブの大群がこつこつノックしてくる冷房が効いた車内でしばし呆然としていました。
徳富川支流某川
気がつけば、もうお昼をまわって、さんざんやぶ漕ぎをしヒグマの恐怖と戦ってきたのにウグイの顔しか見ていません。ときどき晴れて急激に熱くなったり、日が陰ってウェットの装備なので寒気がしたり、体調管理が難しく頭痛もしてきました。
釣行前の計画では、ワッカウエンベツ川各支流でイワナ、ヤマメ、ニジマスが爆釣で、残りの時間を大型ニジマスを狙って徳富川本流で日が暮れるまで優雅に釣りをする予定だった。でも車で簡単に入ることができる川でそんな事態が起こるはずはないんだ。
冷静に考えればわかることなんだけど、だけど今日、このまま何も収穫がないままでは終われない。何とかしなければ。
ということで、バックアップとして考えていた徳富川支流のさらに支流へ、頭痛がする頭を揺らさないようにしながら入ってみることにします。
この川、入渓はそこまで大変ではありません。車で直接乗りつけることはできないけど、川を少し歩けば入渓地点にたどりつくことができます。
あまりにも水がきれいでそこが浅く、魚が住むには適さないような、例えるなら京極のふきだし公園のような川です。実際に湧き水や伏流水が豊富なんでしょう、川底で小砂利が揺れるとても澄んだ流れです。
川の規模はテンカラに理想的で、サイドキャストをすればフリッピングをしなくてもポイントにきっちり毛ばりを落とすことができます。
最初のポイントで水面から垂直にまっすぐ飛び出してきたまずまずの大きさの魚を目にしたので、期待が膨らみます。ちょっと黒っぽく見えたから、またウグイかもしれないけど。
そして画像のポイント、手前で中型の魚が一度かかり場が荒れてしまったので、自分からは見えないんだけどさらに奥の流れ込み直下のよどみに毛ばりを落としてみました。
すぐにラインの動きが止まりググっとロッドに手ごたえがありました。かけた瞬間に木の根元に入り込みじっと動かなくなりました。ロッドを対岸方向へ寝かし流れまでなんとか引き出し、下流に走ってきたところをタイミングよくネットに納めることができました。
ニジマス。39センチ。してやったり。
この渓相でこのサイズが釣れるなんて、サイコーです。一人でウホウホ言いながら釣りあがっていたら、すぐそばの笹やぶでバキバキバキ!と何か大きなものが走り去る音がして、一瞬心臓が止まりました。エゾシカだとは思うんだけど、ヒグマだった可能性もある。
ヒグマスプレーをすぐ使えるように確認し、オリジナルのヒグマ除けボイス(うおっうおっていう変な声)とホイッスルを頻繁に鳴らしながら、30~40センチのニジマスを数匹釣りました。
そして画像の巨大治山ダムに到達。ダムが見えてきたとき少し驚きました。ダムの下流は砂利の流失もないし、いたって健康的で無垢な川に見えたので。ダムがあっても基数が少ないからなのか、砂利がきちんと下流に供給されるタイプの治山ダムなのか、そこのところはよくわかりません。
ダム下にかろうじて深みがありましたが、そこまでの大物は隠れていませんでした。40に届かないニジマスを1匹釣り、体力も限界だったので引き返すことに決めました。
このダム、高巻きができそうなので、今度はこの上で釣りをしてみたいです。大きなイワナがいる可能性が高いと、あてにならない私の直感が訴えています。
まとめ:同じ水系でも支流によりさまざま
この日、ワッカウエンベツ川本流は激濁りで、本流の徳富川もその合流点より下はコーヒー牛乳のような水の色になっていました。
でも、もちろん水は上から下に流れていくので、注ぐ支流は本流の様子に忖度することなく、それぞれ本来の姿の流れで本流に流れ込んでいきます。
でも、本流が釣れる川である場合、支流も釣れるケースは多いです。そしてその逆もしかりなんですが、時には砂防堰堤などの河川を分断するモノでそのルールは変わってしまいます。なので、本当に入ってみなければわからないとしか言いようがないんです。
新しい流れを発見した時の喜びと、その自分で開拓した景色から、大きい魚が飛び出す興奮は、いつも同じ場所で釣りをしていては得られないもの。ちょっと釣れないと、ついつい確実に釣れる慣れ親しんだ川やポイントに足が向いてしまいがちですが、今後も知らない川に入っていこうと思える一日になりました。
それにしても、前半のウグイ続きには、そんな気持ちも簡単に折られるほどのパワーがありましたね。顔が良くないんだよな、あの呆けたような…ワルクチはいけません。
※今回釣り歩いた川の詳細はこちらのマップにまとめてあります。入渓地点や駐車スペースなど役に立つ情報を記載していますので、札幌近郊の釣行をお考えの方におすすめです。ぜひご活用ください。→【夕張/芦別/徳富】渓流釣りマップ「空知」の販売を開始しました
※北海道での釣りがご心配な方はこちらの記事も参考にしてみてください。→【規制とマナー2023】北海道で川釣りをする際に気をつけてほしいこと
この日の記録
釣った魚
- ウグイ7匹(20センチ前後)
- ニジマス6匹(20~39センチ)
メインで使った毛ばり
ドライフライ#10
確認した野鳥
- ウグイス
- ヒバリ
- ノビタキ
- ハクセキレイ
- キセキレイ
- カワガラス
- アオジ(未成熟のヒナが河原にいた。巣から落ちちゃった?)
- トビ
- ハシブトガラス
- マガモ