7月下旬は涼しく曇りがちな日が続きました。忙しさもありなかなか様子を見に行けていませんが、適度な降雨で空知の各河川の渇水もおおむね解消されたのではと予想しています。
来週あたり車でグルっと管理人面で見回りを予定しておりますが、今週は手っ取り早く近場の川でテンカラ欲を満たすことにしました。
「チャリで来た!」というネットミームはすっかり見かけなくなりましたね。今回は厚別川にチャリで来た!回でございます。ちびっこヤンキー感は皆無ですが。
札幌市清田区へ
私の住む街から目的地である札幌市清田区を流れる厚別川の渓流域までは約1時間の道程です。途中なかなかハードな上り坂なぞもあり、いい歳したおっさんがゼエゼエ言いながら頭を左右させている様をナンバーの数字が揃ったワンボックスカーに乗った若いカップルが涼しい車内からニヤニヤ横目で鑑賞しつつ追い越していきます。
おそらく、真夏に自転車で釣りに行くなんて元気だしスタミナあるよなオマエ、とこれをお読みいただいているあなたは思うかもしれません。確かに私はある程度元気なのかもしれませんね。
「元気があればなんでもできる」ということを言っていたプロレスラーがいますが、あの言葉はたしかに事実でしょう。
そりゃ元気があれば何でもできるんです。だけど肝心なのはその元気をどう獲得し持続させるかの方で、プロレス観戦に来ることができる程度に元気がある人たちに向かって「元気ですかー!元気があれば何でもできる!」と叫び、それに呼応する元気な人がさらに元気をもらうシステムはリアルに元気がない人から見るとやや眩しすぎるのでした。
で、その肝心の元気の獲得方法と持続させるコツみたいなものがおそらく心理学とか自己啓発にあたり、当然その処方箋は人それぞれ違うわけで、各々が試行錯誤しながらある程度の元気を補給持続させながら生きていくのが我々の寸生、というのが私の認識です。
さて、いささか話が逸れますが、某国民的”餡の者”は「愛と勇気だけが友達さ」とそのテーマソング中で明言しております。この”愛と勇気”という言葉に従来私は否定的で「愛と勇気で飯が食えるかぁっ!」と悪態をついておりました。(かの人もなにも飯が食えるとまでは言っていない)
ですが、40を超えすっかりおっさんになったある秋の日、湿った布団でまだ薄暗い早朝に目覚め無機質なクロス貼りの天井を一人凝視しているときに、あぁ、人生に必要なものはわりと本気で愛と勇気なんじゃないかと私にもやっと重要な”気づき”の瞬間が訪れました。
やんごとなき事情で”愛”について私は語る資格がゼロなので、ここでは勇気について触れたいと思います。なにも大それた勇気ではなくて、日々のちょっとした勇気、例えば電車内でお年寄りに席を譲るとか、なかなか言い出せなかった提案を口にしてみるとか、新しい川で釣りをしてみるとか、そんな些細なちょっとの勇気を発揮するだけで、それが元気の源になるということがママあるわけです。
それを意識して行うか否かで元気の充填度は大きく違ってきます。そこになんらかの”愛”をプラスすることができる人は十分な量の元気を得ることができるので、まさになんでもできる状態に入ることができるんですね。
おい、そんなことはどうでもいいから肝心の釣りはまだか!とモニターの向こうから血に飢えたアングラーのうめき声のようなものが聞こえてくるのでそろそろ釣りに話を戻しましょう。ということで厚別川に向かいました。
厚別川のポイント
有明地区の厚別川に架かる橋の傍らに自転車を停め、帽子をかぶりグローブをはめ、携帯用蚊取り線香に火を入れて意気揚々、でもひっそりと川に降り立ちます。
一昨日までにまとまった量の降雨があり河原の草が倒れているところを見るにつけ、そこそこ増水し水量が落ち着いた直後といった感じがします。思っていたより水が多く長靴装備ではほんとギリギリの渡渉です。冗談抜きでつま先立ちで右岸左岸へと渡渉を繰り返し遅いペースで釣りあがっていきます。
開始からしばらくはいつものドライテンカラ毛ばりをラインの先に巻いていたのですが、どうもスンナリと口にくわえてくれないのでビーズヘッドの軽めのニンフに交換し、水中の岩に添わせるように流していきます。毛ばりを対岸に掛けてしまうとギリギリ長靴では回収にいけないので、あまり攻めすぎずカツ丁寧に毛ばりを流していきます。
観光施設やレク施設が周辺にあるので、時々子供の叫び声なんかもせせらぎと蝉の大声に交じり、川向こうの深い森の景色と相まって盛夏の渓流の相をさらに魅力的に映しだします。
何度か毛ばりをはじかれたのちやっとこさ一匹目を手にすることができました。湖用ミノーのようなちいさな魚体ですが、そこは小ぶりながらもバーマークと精悍な顔つきで山女魚感をしっかり堪能させてくれるのでした。
その後もあやしいポイントからはしっかりほぼ同じサイズの小山女魚が飛び出し、偏光グラスの向こうに映る水面にはあわただしく岩陰と毛ばりの間を行ったり来たりする魚の姿を見ることができ、飽きずにロッドを振り続けました。
おそらく20cm以上の魚もいるのでしょうが有名な釣り場かつアクセスも良好、川幅も狭いので相当にプレッシャーは高めなはずなので、そう簡単にはサイズものにはお目にかかれない川と言えます。
しかし久しぶりに訪れると何もかもが”ちょうどよい”川で、人工的に作られた落差工や護岸も自然の川に近づけた工夫がされており気持ちが途切れず釣りに集中できて数百メートルの短区間でしたが十分楽しめました。正直ここまでとは思っていませんでした。
次回はもうすこし上流に入ってみたいと思ってます。
チャリ釣行の装備
チャリだと車の中でゆっくり着替えができないし、ものを安全に保管できる場所がないので、よくよく考えて極力身軽で変わり身の早いスタイルにすることがパッキングのコツとなります。
幼いころは川に入らなかったので、普通にジャージにスニーカー、自転車のフレームに延べ竿を紐で括り付けて気軽に出かけたものですが、今は川に入らないと釣りにならないのでウェーダーを持っていくかシューズだけを履き替えウェットにするか、いずれにしても装備の交換が前提となります。
遡行のしやすさは本当に川によりまったく違い、規模が小さいから遡行しやすい、規模が大きいから遡行しにくいといった単純な法則は無く、小さいけど河原が不在の溝のような川もあれば、大きく水量はあるけど広い河原で底が浅く背が連続するような川もあります。
遡行が楽だとわかっている場合には、長靴がやはり便利です。数ある長靴のなかでも日本野鳥の会のバードウオッチング長靴は特にお勧めで私も長く釣りに鳥見に愛用しています。その利点をいくつか挙げてみましょう。
- 丈夫で高耐久
- 小さくたためる
- 丈がある
- 紐で口を締めることができる
たいてい長靴は自立することができる程度の固さがあるものですが、このバードウオッチング長靴は足の部分以外はふにゃふにゃ素材なので小さくたたむことができるし脚にしっかりフィットします。
またゴム紐で履き口を締めることができるので、バシャバシャ歩いた時の水の侵入をある程度防ぐこともできるのです。雨の日に自転車を漕ぐ際にも重宝するので一本持っておいても損はないでしょう。
強いて弱点を挙げるならば、そのロゴ周りの野暮ったさでしょうか。そしてサイズ選びも難しいのでできれば実際に履いてから購入するとよいでしょう。
釣行データ
天気と気温
- 晴れ時々曇り
- 現地最高気温28℃
釣った魚(尺以下は約寸)
- 山女魚8匹(約10-15cm)
確認した野鳥
- クロツグミ(鳴)
- ウグイス(鳴)
- アオジ(鳴)
- イカル(鳴)
- カワガラス
- ハクセキレイ
- トビ
- ハシボソガラス
- キジバト
- ヒヨドリ
- シジュウカラ
- コゲラ
何気にイカルの声を今シーズン初めて聞きました。姿を見ることができれば最高なんだけど私は人生で一度しかあのビビッドフェイスにお目にかかったことがありません。あの独特な節のある声はよく聞くのですが。
そのほか野鳥に関しては特記するようなことはなく、いつもの顔ぶれがいつものような動きをしておりました。
釣果も決して良いとは言えなかったのですが、なんだかものすごく満足感があって、「あぁ楽しいなぁ」と終始つぶやきながらの一日となりました。その理由は何なんだろうか。
釣りにはたくさんの要素があって、釣れる釣れないという二項対立からダツコーチクする必要があるんだと常日頃実感していますし、なるべく多角的に”楽しみ”を見出す工夫をしたいなと考えているので、今日の釣行はそれの良いカタリストたりえたのではないかと振り返っています。
さてすっかり季節は夏本番ということで路地ものの野菜が安くなってきました。通常価格より安くアボカドを購入できるスーパーも発見し、自信のある識別眼を駆使し食べ頃のアボカドを見極め求めざく切りし、旬のトマトと和えて塩を振るだけで最高の食事となります。
トウキビも少し前までは茨城など関東産がメインでしたが札幌近郊産の新鮮なものが手に入るようになり、毎日のように鍋に湯を張り茹でまくっています。なのでトマトなどに直接振りかける用の1軍の岩塩と、トウキビ茹で用の2軍の海水塩を用意し万全の布陣を敷いておるのです。
美味しい野菜、自転車でアクセス可能な渓流、痛くも痒くもない体。これ以上何をか欲するものぞ。
いや、カメラが欲しい。なんならPCも新調したい。ついでにサザエの大福を鱈腹頬張りたい。