今回は巣箱の制作方法と設置の仕方をご紹介します。庭と木がある家にお住まいの方は、ぜひ巣箱をかけていただきたいです。
家族間の良いコミュニケーションにもつながりますし、野鳥により親しみを感じることでしょう。
私はシジュウカラを呼ぶことに成功しました!
巣箱づくり:全体のイメージと必要な資材
完成イメージはこんな感じです。

いくつかの巣箱関連の書籍を見てきましたが、このタイプが誰にでも簡単にできる方法だと思います。「かわいい小鳥を庭に呼ぼう」(成美堂出版)掲載の方法を少しアレンジしたものです。
置いたりぶら下げたりするタイプではなく、裏板に開けた穴から針金やロープで木に縛って固定します。悪天候にも強く野鳥が安心して子育てできます。
今回作るものはシジュウカラやヤマガラに使ってほしいものとしてデザインしてあります。
もう少し大型の野鳥を呼びたい場合には比例して大きくしてあげてください。
必要な材料と工具
必要な木材
- 幅12×長さ150×厚さ1.2(各センチ)の板材(杉、ヒバなど)
必要な金物
- 釘または木ネジ 適量
- 家具用丁番 幅5センチ程度のもの 1つ
- 針金 適量
必要な工具
- のこぎり
- ハンマー
- さしがね
- メジャー
- ドライバー
- インパクトドライバー(あれば)
- 30ミリの座ぐりドリル(あれば)
巣箱の制作方法
図面を書く
準備した板材に直接鉛筆などで図面を書いていきます。

今回は1枚の板から部品を切り出していきます。必ず無垢材を使うようにしてください。合板やランバーコアは雨で剥がれてしまうので使わないほうが良いでしょう。
お勧めは杉、ヒバ、ヒノキなどの腐りにくく加工が容易な針葉樹です。
表面ががさがさしていない、機械で鉋がかけられているものが使いやすいです。ホームセンターで探してみてください。
のこぎりで部材を切り出していきます
のこぎりで鉛筆の線ぴったりにカットしていきます。今回はのこぎり刃の厚さは考慮していません。もしホームセンターの機械などでカットしてもらう場合は、上記の寸法になるようにスタッフさんに頼んでください。
横板の斜めは一度にカットできるので便利ですね。よく考えられています。
部材に穴をあけていきます
カットが済んだら下図のように、底板に配水用の穴、前板に出入口用の穴、裏板に針金を通す穴をそれぞれ開けます。底板、裏板の穴は6~9ミリのドリル、前板の出入口用の穴は28~30ミリで開けましょう。
出入口用のドリルが準備できない場合は、下の図のように前板の角を欠きとる方法でも大丈夫です。

組み立てをする
組み立てにはクギかビス(スリムビスが使いやすい)を使います。
部材が薄いので少し難しい作業になります。向きや固定方法を工夫しながら、慎重に作業してください。

まずは裏板に横板を打ち付けます。横板は平行になるように裏板に線を引いてそれに合わせるように釘で打ち付けます。
そして横板の底部分に底板を打ち付けます。裏板側からも釘を入れてあげると安心ですね。

前板を打ち付けます。屋根がぴったり閉じるように上側の出を調整してください。下側に余ってしまっても全く問題はありません。
※上のイラストは丸穴ではなくて、角を欠きとったタイプです。
屋根は家具用の丁番で裏板に固定します。丁番は回転部の突起が外側に来るようにしましょう。
横板の上端にぴったり置いた状態でねじ止めします。引っ掛かりがなくスムーズに屋根の開閉ができればOKです。
最後に風などで屋根が開いてしまわないように屋根と横板の側面の適当な場所に釘またはネジを入れ、針金でぐるっと回して固定してあげます。子育て中に強風で屋根が開くと大変なのでしっかり固定できていることを確認してください。

開閉式にしている理由ですが、オフシーズンに清掃をするためです。
これで完成ですね。お疲れさまでした!
実際に木に取り付けてみよう!
基本的な巣箱設置のしかた

裏板に開けた穴に針金を通して、木にくくりつけます。麻ロープなどでも問題ありませんが、意外と傷むのが早いので、針金が確実です。
スズメに使ってもらいたい場合はどこに設置しても大丈夫です。よく配電盤や屋外のダクトなどで巣をつくっていますよね。彼らは非常にタフです。
シジュウカラに来てほしい場合は以下のことに気を付けてください。
- 高さは1.5メートルほど。高すぎるとダメみたいです。
- 視界が良くて開けている場所。木がたくさんある場合には端の木に括り付ける。
- 人通りの多い場所や車の往来が激しいと、途中で放棄してしまうことがあるので注意。
- 上向きではなくやや下に向くように設置する
- 可能であれば返しを付け、猫や蛇が上がってこれないような工夫をする。
私が巣箱を設置してからの経過
1年目は残念ながらどなたも利用しませんでした。
2月に設置したのですが、まだ鳥の方でもあそこに巣箱がある!と認識していなかったのでしょう。やはり前の年の秋には設置しておくほうが良いみたいです。
2年目、3年目はシジュウカラが巣を作り、無事に子育てし10羽のひなが巣立ちました。途中、スズメにご遠慮いただいたり、カラスを追っ払ったり、向かいの公園の芝刈り機の人にあまり近寄らないでと頼んだり、陰ながらアシストはしました。
以下、私の2年目の巣立ちの日の記録より
今朝シジュウカラの雛が巣立ちました。
昨日から頻繁に顔を出すようになり、今朝からは上半身を乗り出してピーピー鳴いていたので注目して見ていたら、親鳥の後押しによって次から次へと飛び出してきました。すんなり出てくる子、なかなか飛び出せず何度もやり直す子、様々でしたが全ての雛の巣立ちを見守ることができ、ラッキーでした。
餌を口にした親鳥が巣箱から雛を誘い出す形で巣立ちは行われます。
促されて顔を出す雛。兄弟もいっぱいいて安心できる巣穴から、危険は多いけれど自由な外の世界に出る瞬間はどんな気持ちなのでしょうか? 何度もガンバレ、ガンバレとつぶやきました。約1時間で10羽ほど巣立ち、そのうち一羽は上手に飛べず見守る私のすぐ横を通りベランダに不時着。あわてて部屋に戻り物陰から見ていると、何度か羽ばたく練習をしたのち兄弟たちが待つ木にちゃんと帰っていきました。
もう巣箱は空のようです。ちょっとさびしくなりますが付近でシジュウカラを見た時にはうちの庭で生まれた子かもしれないと思えるので嬉しいです。また来年の春、ここで生まれた子がここで子育てするかもしれません。
まとめ:素晴らしき巣箱の世界

巣箱の制作と設置を通して学べることはとても多いです。
日曜大工、鳥への関心、観察、記録など貴重な機会を私に与えてくれました。
失敗するかもしれませんが、実際に使ってもらってひなが巣立った時の感動は、今でも思い出すと嬉しい気持ちになります。
親子でやるのはもちろんですが、大人同士でも、例えば年配のご夫婦で楽しまれるのもいいと思います。
一人でも多くの人に、私が経験したシジュウカラの営巣と巣立ちの感動を分かち合えたらなと思ってこの記事を書きました。
なお作業中のケガにはくれぐれもご注意ください。
※参考書籍
かわいい小鳥を庭に呼ぼう(成美堂出版)子供向けの本ですが、文章も写真も充実していて非常にわかりやすくおすすめ。
巣箱づくりから自然保護へ(飯田知彦 創森社)巣箱のすばらしさを余すところなく知って納得することができる、こちらもまぎれもない名著です。