【ドラクエ5】シリーズで最も影の薄いラスボスの悲しき全貌

コンテンツ

不遇なラスボスの代名詞

ドラクエ5のラスボスの名はミルドラースです。そもそもこの名前が出てこない、という人もいるでしょう。シドーゾーマデスピサロとアクの強いラスボスが続いた影響もあるでしょうが、ミルドラースは存在感という面で彼らに大きく水をあけられています。

その理由はいくつか挙げられます。

まずは、そもそも大魔王撃破が主人公の目的ではなかったということ。母のマーサ救出という目的のために訪れた魔界でたまたまその存在を知ってしまい、まぁついでだから倒していくか…というなんだかおまけ要素的な扱いになってしまっているのです。

次に、その名前が登場するのが終盤に入ってからであることに加え、それまで父の仇として追っていたゲマの存在があまりに大きいことも、ミルドラースの陰を薄くしている理由の一つでしょう。

しかし、二度のリメイク(PS2、DS)を経て、設定と背景が補足されて大魔王としての存在感は幾分ましになった印象です。以下ではリメイクで追加されたミルドラースの設定から、彼の人となり?を見ていきたいと思います。

存在感を増すミルドラース

その名は幼年期のレヌール城で早くも聞くことができます。城内を漂う学者の幽霊がこのようなことを言っています。

かつて書物で読んだ魔界の王ミルドラースがこの世界に手をのばそうとしているのだろうか…

DQ5天空の花嫁ーDS版

こんな感じでかなり意図的にその名前が語られます。やはり制作陣も何とかしてこの名前をプレイヤーの心に刻み込みたい!という想いがあったのでしょう。と言っても、あくまでも付け焼刃な対応に過ぎない感じです。

そしてサラボナの見張り塔にいる兵士もこんなことを言います。

かつて究極の進化をもとめおのれ自身を魔物に変えてしまった者がいたという。そのあまりの邪悪さゆえかみのいかりをかって魔界へ封じられたというが…。その者の名はミルドラース!

DQ5天空の花嫁ーDS版

そしてイブール撃破後にもその存在が仄めかされ、プレイヤーは悪の親玉はどうやらミルドラースらしい、ということを悟るわけです。でも残念ながらマーサをさらった犯人との確証はないため個人的な恨みも実害もなく、やはり打倒の大義名分は依然として無いまま。

ミルドラースは何故魔王に?

ミルドラースがもともと人間だったことは先ほどのサラボナの兵士も語っていますし、よく知られている話のようで、ジャハンナに住む魔物もそれに補足情報を与えてくれます。

かつて神になりたかった人間がいた…。しかしその者は心の邪悪さゆえに魔物になってしまったのだ。その邪悪な心をふりはらうためエルヘブンの民が立ち向かったがあまりに心の闇は深く…もはや人間にもどすことはできなかったという。

DQ5天空の花嫁ーDS版

先ほどの兵士の話とつなぎ合わせると、ミルドラースはもともと人間で究極の進化を求めて結果的に魔物に身を堕とした。エルヘブンの民が救おうとしたがあまりに邪悪過ぎて持て余し、しまいには神の怒りにふれ魔界に封じ込められた

これがミルドラースが魔界送りとなったいきさつらしいです。そしてこのいきさつは魔界の住人にとっては公然の秘密であるらしい。

魔界のすごろく場にいる「くさったしたい」氏もこんなことを言っています。

ミルドラースさまは今じゃ万能の神だが昔は人間だったってウワサだ。だがおまえそんなことをクチにしたらとたんにこの墓の下だぞ。

DQ5天空の花嫁ーDS版

魔界に封印されたミルドラースは魔界の水が合ったのか日に日にその力を増し、多くのものから尊敬崇拝されるようになり、結果的に王の中の王、神をも超える存在と自認するようになります。

そしてゲマが最後に言っていたように、物語終盤までには、マーサの力に頼らずとも魔界と人間界の間にある門(封印)を破れるほどの力を手にしました。これはハッタリではなく事実なんでしょう。

予知と進化

ミルドラースには予知能力がある。そのことが戦いに敗れたイブールの口から漏れ出ます。

すべてはわれらが神大魔王ミルドラースさまの予言どおり!

DQ5天空の花嫁ーDS版

これは、「魔界に王が誕生したとき、勇者もまたこの地に生まれる」という予言の断片です。そしてその勇者の誕生を阻止するために光の教団は人間界でせっせと活動していた。

ミルドラースが見た予知の全体像は、「その勇者によって魔王(自身)が倒される」ということだったんじゃないだろうか。そしてそれを回避するための力を得んがために究極の進化を求めた。

そして、究極の進化を手にしたミルドラースはその予知を覆すことができるほどの力を得たと自覚したのでしょう。それを確かめる戦いこそが今作のラスボス戦だった、ということになります。

この「究極の進化」という言葉はドラクエ4でも重要なテーマでした。バルザックが、デスピサロが、それを使い強大化し魔物を統率し人間界に君臨しようとたくらんだが、結局は古くからの言い伝え通りに勇者によってほろぼされた。

結局ドラクエの世界では、勇者が悪を、そして闇を打ち払うのです。

メタ的な言い方をするなれば、RPGにありがちなご都合主義を打ち破る唯一の方法が「進化の秘法」なのかもしれません。

今後の魔王軍の活躍を祈願し。この項を終わらせていただきます。

コンテンツ