フローラかビアンカか。これはきのこたけのこと同列で語られる国民的究極の選択と言われて久しいわけですが、この2択がなぜ難しくここまで長いことネタにされてきたのか、その考察です。
ビアンカは情
ビアンカを選択する場合、その判断基準は「情」に尽きると思います。もっと有り体にいうのであれば「結婚してあげないとかわいそうだから」といういささか上から目線の理由になりがちです。
結婚しないと生涯山奥の村で寂しく暮らすことになる。
病弱な父の世話をしながら働き、いつまでも大好きな主人公のことを想い続けている。
その主人公はことあるごとに、平気な顔をして嫁と子供を連れて遊びに来る。
もしフローラを選んでしまった場合、ビアンカのその後が気になって冒険どころではなくなる、だからビアンカを選ぶんだ!という人も多いでしょう。これも「情」での選択となります。
フローラはメリット?
一方、フローラを選択する人の理由は得られるメリットを冷静に考えています。イオナズンを習得する、パパからギフト(ゴールドと貴重な装備品)が届く、これらは確かに結婚を決める理由になり得ます。
ということで、一般的にはこんな感じに語られることが多いのです。
- ビアンカ派の選択理由:情、幼馴染、気になる
- フローラ派の選択理由:損得勘定、能力の高さ
しかし、フローラを選択することによって得られるメリットは、2週目以降や攻略情報(当時は少なかった)を見聞きしていないと当然わからないので、私の体感だと8割方のプレイヤーはビアンカを選択していた。
メリットがわからず情もないため、フローラを選択する理由がない、ということです。
これはあくまでもSFC版が発売されて数年間の話です。イメージイラストも多くなく、サイドストーリーや派生作品なんかも無かった時代。
今ではその見た目でどっちが好き、という判断も大いにあり得るでしょう。活発なビアンカとおとなしく清純なフローラ、見た目と性格での好みも分かれそうです。
と言っても、どちらも作中ではかなりの美人として描かれているので、これを最終的な判断材料にするのは難しくなる。そもそも架空の人物なので、やはり人物の背景からの選択をすることになるでしょう。
プレイヤーじゃなくて主人公の気持ちで
さて、上記はあくまでもプレイヤーの選択であり、主人公の選択ではありません。プレイヤーが主人公の気持ちを慮ってこの重要な選択をするとどうなるのだろうか。
現実の結婚でも同じですが、結婚後のことは結婚後にしかわかりません。先ほどのビアンカのその後について、ルドマンからの贈り物、これらはフローラと結婚してみなければわからないことです。
ここで一つ重要なことがあります。普通に主人公目線で考えるのであれば、ビアンカを選んだ場合、てんくうの盾は手に入らない、そう考えるのが普通です。
ビアンカを選んだあとで、結果的に盾も船ももらえましたが、ビアンカを選ぶということは、盾を諦めて愛に走ったということ。父の遺言である「母と伝説の勇者を探す旅」よりも、ビアンカとの愛情を選択した、ということになります。
もしです、ビアンカとの間にもっと深い結びつきがあり、相思相愛であったのであれば、相当に迷うはずです。ビアンカとの幸せな結婚生活をとるか、フローラと結婚し本来の旅の目的に邁進するか。
どちらにも想いが無い?
でもその肝心のビアンカとの結びつきが作中ではちょっと弱い印象です。幼馴染みといえるほど長い時間を幼いころに一緒に過ごしていない。レヌール城のお化け退治もおそらく一晩の出来事だったはず。
そして、その後音信不通となり10数年ぶりに偶然再会し、一緒に滝の洞くつを探検した。ただそれだけの関係であるから、お互いに好きだという感情は持っていなかったんじゃないだろうか。
「そういえば幼いころにそういう女の子(男の子)がいたなぁ」程度の認識なんじゃなかろうか。そしてフローラに対しても、もちろん特段思い入れはないはずだ。もしあったらそれはそれでちょっとおっかない。
- ビアンカは小学校の時1年間だけ同じクラスだった子
- フローラは犬の散歩中に少し立ち話をしただけの女性
だから、これがゲームではなく現実の話であれば、花婿の条件を満たし(二つのリングを手にし)、そしてルドマンに旅の事情について話をし、もし自分が勇者を発見できた暁にはその天空の盾を譲ってくれるように約束をする。
フローラについてはアンディという相手がすでにいるので、結婚するわけにはいかない。ということで私はそろそろ失礼いたします…となるだろう。もし結婚するのであれば、またしばらく後に訪れた際に親密になり…という展開が普通なはず。
ゲームとしての選択
だけどゲームの都合上、どちらかを選ばなくてはいけないから、話が難しくなってしまうわけです。どちらに対しても結婚するほどの感情を持っていない、というのが正直なところでしょう。
だから最初に述べたように「得られるものが多いからフローラ」「かわいそうだからビアンカ」というなんとも軽薄で表面的な基準での選択となってしまうわけです。
本来結婚する際に最も重視されるべき「好きだから」がここには無いのです。だから難しい選択なんですよ。
さて、ここからは私の願望です。
先ほどのようにリングを二つ取った段階ですべての事情をルドマンに話し、縁談を白紙に戻したうえで、ビアンカとそのまま冒険を続け、チゾットの山道の山頂の宿屋でふと「結婚しようか」という流れになり、グランバニアに落ち着いた後に結婚式、出産という流れが最も自然に思える。
でも、こんなべたな筋書きではここまで何十年も話題になるような事柄になっていないんだろうなと思います。この、ゲームだからこそ生まれる想像の余地とご都合主義がかえって面白くしている部分は確実にあるでしょう。ゲームのシナリオを作る人たちの仕事が光っていますね。
さいごになりますが、私はリメイク版も含めるとデボラ一択です。
