光の教団の概要
ドラクエ5が発売されたのは1992年。当時日本ではオウム真理教をはじめとしたカルト宗教ブーム?が起きておりそれを反映してなのか作中にも「光の教団」という宗教団体が登場します。
現実世界にも「光」の名を冠する新興宗教が存在するので、そこから苦情がいかなかったのか、ちょっと気になってはいますが、多分いったのだろうなと考えます。
さて、この光の教団ですが、主人公の人生に大きな影を落とす存在となります。ドラクエ5の世界では一般市民にまで布教と勧誘が進んでいていくつかの町でその噂や信者の話を聞くこともできます。当然運営母体である「魔王軍」の存在は隠されているわけです。
教義はとてもシンプルでこのようになっております。
- 大教祖イブールを信じれば神に愛される
- 信じれば光の国へたどり着ける
- 教団に入れば救われる
少し考えればわかることなんですが、ドラクエ世界の主な「不幸」「厄災」は魔物由来のものが多く、入信するとそれから解放されるということは、この教団が魔物と手を組んでいるという証拠に他ならないわけです。リメイク版のサンチョもこの事を指摘しています。
教団の目的
この教団の真の目的は、人間を洗脳しミルドラースを中心とする組織(要するに魔王軍)に従わせる、というもの。加えて人間を勧誘する過程で、魔王の存在に呼応して現れるとされている「勇者」を見つけ出しその存在を消すこと、であるのですが、そこまで精力的かつ意図的に活動している描写はありません。
なお、この「勇者が現れる」という説は、この世界の言い伝えであり、かつミルドラース自身が観た「予知」でもあります。この予知を知らされたイブールをはじめとする教団幹部が、あくまでも自主的に人間界で活動するときに使った「表の顔」なのがこの教団というわけです・
すこし話が脱線しますが、ミルドラース自身はこの教団の設立は部下が勝手にしたことで一切関与していないと作中で本人の口から語られています。
その理由は、そんな手助けを必要としなくても、自分の力で魔界の門をこじ開けて人間界を征服することができるほどの力を蓄えた、からです。ゲマ、イブールなど重役の想像を超えてミルドラースは進化しました。
話を教団にもどしますが、多くの信者の獲得に成功しているので、勧誘と布教という人を集める段階は成功していますが、そのあとの要の事業である「人間界の征服と勇者の捕獲」にはイマイチ本腰を入れていない印象です。
イブールやゲマ、ラマダ、ジャミ辺りは教団の意図を理解して行動していたように思われますが、そのほかの一般の魔物まではそれは正しく伝達されておらず、とりあえず人間を見たら殺すか拉致するか、くらいの曖昧な理解だったのでしょう。
ジージョをさらったガーゴイルのように半人間タイプで知能が高そうな魔物はある程度その目的を理解していたのかもしれませんね。
教団の物品管理について
教団の本拠地である大神殿の物品の管理体制に疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。私もその一人です。
まずおかしなところは、天空のよろいを隠すことをせずに展示し、ザコキャラ1体にその護衛を任せている点です。
どのような経緯で天空のよろいを入手できたのか私には知る由もありませんが、いずれにしても勇者の誕生を阻止することができる切り札なので、万が一を考え神殿の奥深くで厳重に管理されてしかるべきなんですが、なぜか屋外の倉庫に目立つように飾られている、という謎の管理。
護衛は雑魚敵のへびておとこ一体であり、かれはこんなことを言います。「たましいをぬかれているわりには さからうやつだな!」 この一言から、大神殿には洗脳された人間しかいない、ということがうかがい知れます。
もちろん、人間があの神殿に到達することはありえないこと(天空城を運転してやっとたどり着ける)なので安心しきって油断していたのでしょう。それにしても杜撰すぎます。おかげで主人公一行は重要装備をいとも簡単に入手できました。
そして物品管理に関してもう一つ疑問があります。それは主人公の装備とアイテムをきちんと保管していたことです。
ゲマにとらえられ奴隷とされた際に、所有していたすべてのアイテムは取り上げられ、ドレイのふく一枚で建設作業に従事させられることになりました。
しかし十数年後、主人公とヘンリー、そしてマリアが樽に入って神殿から脱出する直前に、マリアの兄で教団の守衛をしていたヨシュアがすべてのアイテムを返してくれます。
私は当時、子供ながらにこれはちょっと腑に落ちない、と思ったものです。おそらく数百、数千の人間が魔物につかまったり、だまされて勧誘されて奴隷として連れてこられたはず。それらすべての人たちの所持品をきちんと分類しラベルを付けて保管していた、なんてことはまずありえないからです。
ゲームの進行上、どうしても必要なアイテムや貴重品も持っていなかったはずなので、ここはそのまま裸一貫(ドレイのふく一枚)で脱出でもよかったと思うんですよね。そして、修道院で新品の布の服一枚でも恵んでいただけたらそれで十分じゃないですか。
修道院では旅立ちの際に餞別としてお小遣いもいただけるし、少し北に歩けばオラクルベリーという大きな街もあるので、そこで新たに装備を整えることもできる。
そこまでの道中は基本的にスライムやブラウニーなど弱いモンスターしか出ないから、布の服一枚でたどり着くことは不可能ではないし、そのほうがリアリティが増します。
少し話がそれましたが、以上のように光の教団の物品管理は謎だらけなので、ここからも組織としてのガバナンスの甘さが垣間見れるというわけです。
布教と洗脳、そして終焉
布教活動にはイブールのほんというものが使用されています。実際にルラフェンで購入することができ道具として使用するといくつかの感想も聞くことができます。価格は3000Gとちょっと高めで攻略には必要ではないアイテム。売ることもでき、買取価格はなんと3000G。なんかこの辺も微妙にリアルな感じです。
本を使った布教のほかに人を集める手段としてジージョの例のように拉致されて大神殿まで連れてこられて奴隷化、その後にはラマダによる洗脳が行われて盲目的に教団の信者になるというパターンもあります。
しかし、この催眠術的な洗脳が無くても、アルカパの女性のように熱狂的な信者は各地に存在しているようなので、イブールのほんというものはある層には刺さる内容だと想像されます。
さて、主人公一行がラマダを倒すと洗脳が解かれて大広間に集まっていた人たちは自分をとりもどすのですが、その中にはあのジージョもいます。
大神殿でのイベントが終わってからジージョの実家を訪れると無事に帰宅していることも確認できますが、果たしてあんなところから自分の力だけで帰宅することは可能なのだろうか。もしくは天空城の人達が天空城を使ってピストン輸送をして地上に降ろしてあげたのだろうか。
いずれにしても、順調に進んでいた人間界での布教と洗脳も、乗り込んできた主人公が教団幹部を次々と殺害したことによって幕を閉じることになったわけです。
